本当はやめた方がいい北海道冬キャンプ〜それでも魅力的なアウトドア

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北海道の冬キャンプ

本州では、気温が下がり天気の変化も少ない秋から冬にかけてキャンプを楽しむ冬キャンプが人気のようですね。冬の寒さが厳しい北海道では、冬のレジャーは危険と隣り合わせ。
それでも北海道の冬キャンプに魅力を感じる方へ向けて、北海道の冬の天気と設備が整ったキャンプ場のお話をさせていただきますね。

冬キャンプの魅力

キャンプ場の星

キャンプ場の星

澄んだ空気だから見える静かな星空。何度も刺されて嫌になるや、ちょっと苦手な羽虫も姿を消して、混み合うサイトは所々空いて人気もまばら。

冷え込む夜に体が暖まるカレーやシチュー。冬キャンプは、夏にはない魅力が多く、本格的なキャンプを楽しまれる方に人気です。

北海道の冬の天気の概要

冬景色

北海道の冬景色

北海道の冬は、ケンミンショーなどで取り上げられることもあり、世の中で知られるようになりました。改めて、アウトドアに関係のある地域の天気を振り返ってみましょう。

北海道の人気アウトドアスポットの天気

北海道地図

北海道地図

ここで、北海道でアウトドアが盛んな地域の1月の平均気温と1番寒い日の最高気温と最低気温を見てみることにします。

・ニセコ 平均気温-4.5℃/最高気温-6.1℃/最低気温-17.7℃/平均風速2.6m/1カ月の雪の日31日

・美瑛・富良野 平均気温-8.0℃/最高気温-8.9℃/最低気温-23.2℃/平均風速1.3m/1カ月の雪の日31日

・帯広 平均気温-5.5℃/最高気温-3.1℃/最低気温-15.7℃/平均風速2.3m/1カ月の雪の日9日

ご覧のように、1番寒い日は3つの地域で暖かい帯広でも最高気温は-3.1℃しかありません。そして、1番寒い日の最低気温は富良野の最低気温-23.2℃です。-10℃以上の気温は、あまり想像はできないでしょう。

これは、スキーウエアのような完全防寒の装備でも数時間しか屋外で過ごすことができず、暖房でこまめに暖まらないと命に危険が出るくらいの気温なんです。
さらに、豪雪地帯の日本海側や内陸部ではほとんど毎日雪が降っています。最高気温が-の日の雪は、さらさらしていて濡れることはないでしょう。やはり、気をつけなければならないのは寒さ対策です。

冬に多い死亡事故

冬の北海道・神宮

冬の北海道・神宮

寒さが厳しい天気なので、冬のレジャーにまつわる事故も起こっています。

アウトドアで起こる事故は、バックカントリースキー冬山登山での遭難暖房をつけながら氷上で魚釣りをされていた方が一酸化炭素中毒で亡くなる事故郊外の地吹雪で立ち往生しての低体温症が毎年ニュースになっています。

ですが、1番多いのは交通事故です。

スタッドレスタイヤは、CMのように交差点で減速しながら止まることはできても、急ブレーキで夏のように止まることはできません。

冬のドライブ中に本州からフェリーで来られた方が立ち往生されていて、声をかけさせていただいたことがありました。スタッドレスタイヤなのですが運転出来そうにないんです」とお困りのようでした。

スタッドレスタイヤを履いて雪道を走るのは、生まれて初めてスキーを履いてゲレンデを滑るのと同じくらい難しいことなのでしょう。

視界10mの吹雪の中、周りは法定速度でスイスイと走る道路をキャンプ場まで運転するだけでも、とても大変なはずですよ。

北海道の冬道

北海道の冬道

どうしても冬キャンプに行きたい方は

冬の寒さと雪対策、厳しい交通事情を知っている北海道暮らしの私は、本州からおいでの方には、冬キャンプをお勧めしたくはありません。ですが、雪の舞う真っ白な世界の中、暖かいコーヒーを飲んで焚き火に当たるのは魅力的ですよね。

冬キャンプに必要な準備と装備

どうしても冬キャンプを楽しみたい方には、いくつか準備をすることをおすすめします。おそらくフェリーで車を持ち込まれるか、レンタカーを利用されると思います。

まずは1時間くらい、港町やレンタカーを借りた街の中をゆっくり走り、雪道に慣れてください。移動時間もGoogleマップの表示時間の倍以上余裕を持って移動されてはいかがでしょう。

防寒具は、アウトドアショップで1番防寒に優れたものを用意し、ヒートテックも忘れずにお持ちください。ガスストーブがあると心強いのですが、換気しながらストーブを焚いても暖まっている手足しか暖かくならないものです。

シェラフとコット

シェラフはもちろん、-10℃以上に耐えられる規格のものを購入し、ベッドの代わりになるコットがあると凍った地面からの寒さが和らぎます。

冬用テント

また、出費がかさむと思いますが、夏場のキャンプでしかテントを使われない方は、買い替えが必要になります。
夏場のテントでは、陽射しを避け、蚊や虻などを避けながら、室内を快適に保つためのものです。一方で冬のテントには、命を失わないための「防寒性能」が求められています。できるだけ隙間をなくし、室内から熱が逃げにくい方が防寒性能は高くなります。
そのため、冬キャンプ用のテントが別に必要になるはずです。さらに、持ち運びが可能なガスストーブは、冷え切った手足を暖めるためになくてはならないものです。

欠かせないのは防寒のテントとストーブ

冬キャンプでは、何より「体温が失われない」「気温を保つ」ことが必須です。
防寒着やシェラフは命に関わる装備なので、もんちろんキャンプ場付近の最低気温に耐えられる規格のものを選びましょう。
他にも、欠かせない装備はテントとストーブです。

テントはより高性能モデルを選ぶ

テントについては、形は問わないのですが、同じメーカーの中でも「より高性能モデル」を選びましょう。
テントそのものには、シェラフの温度のように規格はありません。
ですが、テントには使用されている「布の厚さ」「フライシートのスカートの有無」「インナーテントの耐水圧」「ベンチレーションの性能」で販売価格に応じた違いがあります。
布の厚さは、もちろん防寒に影響しますし、インナーテントの耐水圧は、雪の上にテントを建てるため高いことに越したことはないでしょう。
フライシートにスカートが有り、ベンチレーションの性能が良いと、隙間風で熱が逃げるのを防ぐことができます。
これらは、販売価格の安いモデルでは低く、高いモデルでは高く設定されています。

ガスストーブは用意する

また、ストーブは必ず用意しましょう。
ストーブといっても、登山用のバーナーではなく、カセットコンロのガス缶を使うタイプのストーブです。
カセットコンロを使うタイプのガスストーブには、「屋内用」「屋外用」「屋内外用」のいずれかがあります。
「屋内用」は、大型か高性能のため電源が必要になり、アウトドアには向いてはいません。
「屋外用」「屋内外用」のどちらかで、持ち運びがしやすい5kg前後のものを選ばれるといいですよ。

連泊される方は

本格的に連泊される方は、薪ストーブや石油ストーブを用意される方もおられますが、薪ストーブは販売価格が高く、石油ストーブは燃料も含めて持ち運びには向きません。
北海道の真冬では、持ち歩きに便利な大きさのガスストーブを炊いたとしても、「手足の先が暖まる程度」の気休めにしかならないでしょう。
また、煙突を設置できるタイプのロッジ型テントを除くと、換気のためにベンチレーションを開放しなければなりません。

もちろん、ベンチレーションからは−10数℃の冷たい空気が入ってきます。
こうした真冬の屋外のアウトドアでは、テントの中でガスストーブを炊いても、−10数℃の外気を0℃前後に保つくらいしか効果がないんです。
それでも、自分の体温以上の温度で温めてくれるストーブは冬キャンプに欠かせない道具です。

冬キャンプができるキャンプ場

北海道の日の出

北海道の日の出

北海道の冬キャンプを安全に楽しめて、空港やフェリーターミナルからの道のりが厳しくないのは苫小牧市内に昨年リニューアルオープンした「オートリゾート苫小牧Arten」です。

施設内に温泉もあり、センターハウスの設備も充実しています。旅行自粛が開けた来年には、大規模なグランピング施設が出来上がるのではと噂され、今盛り上がっているキャンプ場なんですよ。

ちなみにキャンプ場周囲の1月の天気は、このようになっています。平均気温-2.9℃/最高気温-2.9℃/最低気温-11.8℃/平均風速3.0m/1カ月の雪の日7日。ニセコや富良野に比べ気温の変化が穏やかな地域でもあります。

まとめ

北海道に暮らしたことがある、冬の寒さと厳しさを感じている1人としては、事故の危険のある冬キャンプはあまりおすすめできません。ですが、幻想的な白い風景の中キャンプをされることに魅力を感じることも、キャンプ好きとしてよくわかります。
今回取り上げさせていただいたキャンプ場は、比較的安全に冬キャンプを楽しめる場所です。
どうか運転に気をつけて、十分な準備をしてからお出かけくださいね。

気象庁http://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php?prec_no=21&block_no=47424&year=2020&month=1&day=19&view=h0s