自然の驚異ナハニ国立公園:カナダの隠された宝石と世界遺産に認定された理由

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世界遺産には、文化遺産と自然遺産、さらに両方の価値を合わせた複合遺産があります。
歴史的建造物や過去の営みを物語る遺跡など多くの文化遺産が登録されていますが、自然遺産と複合遺産は文化遺産ほど多くはありません。
雄大な大自然が残るカナダのナハニ国立公園は、景観の美しさと自然の変化そのものが高く評価された自然遺産の1つです。

今回は、世界遺産の登録基準の「景観」という用語に注目してナハニ国立公園の紹介をさせてい
ただきますね。

前回の記事は 世界遺産ランス・オ・メドー遥か過去を旅しヴァイキングの足跡を辿るです。

世界遺産としてのナハニ国立公園の自然美と地質学的特徴

ナハニ国立公園はカナダのノースウエスト準州に位置し、1976年にユネスコの世界遺産に登録されました。
この公園は、壮大なキャニオン、温泉、瀑布、広大な山脈、そして未開の野生地帯で知られています。
特に有名なのは、スペクタクルなナハニ川のキャニオンで、深さ600メートルに及ぶ断崖絶壁が川を挟んで立ち並びます。

ナハニ国立公園は、その地質学的特徴、生態系の多様性、そして先住民文化との関連性が評価され、世界遺産としての価値が認められています。
アクセスが困難なため、手つかずの自然が保たれており、冒険心をくすぐる秘境として多くの自然愛好家や冒険家に魅力を放っています。

ナハニ国立公園:カナダの自然遺産の宝庫

カナダの広大な自然の中で、ナハニ国立公園は特別な場所を占めています。
この公園は、1978年に世界遺産に登録された最初の自然遺産の一つであり、その理由はその壮大な美しさと地球上で最も原始的な状態を保つ地域の一つであることにあります。
ナハニ国立公園は、ノースウェスト準州のデネ地域に位置し、広大な面積にわたっています。

ここは、深い峡谷、温泉、広大な石灰岩洞窟、そして壮大なバージニアフォールズを含む、地球上で最も美しい自然の驚異の一つとして知られています。

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バージニアフォールズ:壮大な自然の力

バージニアフォールズは、ナイアガラの滝よりも高く、その力強い水の流れは訪れる人々に深い印象を与えます。

滝の周囲は、豊かな野生生物と多様な植生に囲まれており、ハイキングやカヌー、カヤックなどのアウトドア活動に最適な環境を提供しています。

また、公園内には、サウスナハニ川が流れるスペクタクル・レンジと呼ばれる山脈があり、その名の通り、目を見張るような景色を楽しむことができます。

古代からの贈り物:ナハニの石灰岩洞窟”

ナハニ国立公園の地質学的な特徴は、その成り立ちにも関連しています。
公園内には、数百万年にわたる侵食の結果形成された石灰岩洞窟が点在しており、これらの洞窟は地球の歴史を物語る貴重な自然のアーカイブとなっています。

科学者たちは、これらの洞窟を研究することで、過去の気候変動や地球の進化についての手がかりを得ています。

厳しい自然の中で生きる野生動物

公園の生態系は、その地理的な孤立性と厳しい気候によって独特のものとなっています。

ここには、グリズリー、カリブー、オオカミ、ビーバーなど、北極圏特有の野生動物が生息しており、これらの動物たちはナハニの厳しい環境に適応して繁栄しています。

また、公園は多くの鳥類の生息地でもあり、バードウォッチング愛好家にとっては格好の場所です。

デネの人々とナハニ:深い絆と文化的遺産

ナハニ国立公園の文化的な価値もまた、その世界遺産としての地位を高めています。
この地域は、先住民族であるデネの人々にとって聖地であり、彼らの伝統的な生活様式と精神的な信念が今もなお息づいています。

公園内には、古代の狩猟キャンプの跡や聖なる場所が残されており、デネの人々の歴史と文化を今に伝えています。

 

訪れる者に開かれた秘密と美

ナハニ国立公園は、その自然の美しさ、地質学的な重要性、豊かな生態系、そして文化的な遺産によって、カナダの隠された宝石として称賛されています。

この地を訪れる人々は、自然との一体感を感じ、地球の驚異を目の当たりにすることができます。ナハニは、探求する価値のある世界遺産であり、その秘密と壮大な美しさは、訪れる人々の心に深く刻まれることでしょう。

自然の驚異ナハニ国立公園、カナダの隠された宝石と探求世界遺産に認定された理由の秘密と壮大な美しさ

自然の驚異ナハニ国立公園、カナダの隠された宝石と探求世界遺産に認定された理由の秘密と壮大な美しさ

 

ナハニ国立公園の基本情報

英語表記)Nahanni National Park
登録区分)自然遺産
登録年)1978年
登録基準)(7),(8)
登録国)カナダ
登録地域)北アメリカ

 

ナハニ国立公園は、カナダ北部ノースウエスト準州にある総面積4766km2の国立公園です。

カナダ国内でも秘境とされるナハニ国立公園には、2023年現在でも地上の交通機関がなく、ヘリ
コプターで訪れることが主な移動手段です。

公園内は、標高2,972メートルのマッキンジー山と4つの渓谷、さらにナイアガラの滝の約2倍の
落差を持つヴァージニア・フォールズが自然遺産として登録されています。

 

ナハニ国立公園が自然遺産として評価された自然美及び美的な重要性とは?

世界遺産の登録基準の中で、風景に関する用語は文化遺産と自然遺産の両方に使われていま
す。
文化遺産では「文化的景観」、自然遺産では「自然美及び美的な重要性」「自然地理的特性」の
用語が使われ、日本語では似通った意味に捉えてしまいますよね。

実は、文化遺産と自然遺産では景観を評価するポイントが全く違った意味で使われています。

文化的景観とは?

世界遺産の解説では、「文化的景観」と呼ばれる用語が使われます。
文化的景観とは、「人間と自然との相互作用によって生み出された景観」とされ、自然と人が関
係しあって生み出されたことを「文化」としています。

具体的には、人間が自然の中に作り出した庭園や山林、あるいは田園や牧場のように人が営む産業と深く結びついた景観。

そして、自然自体にほとんど手を加えていなくとも、人間がそこに文化的な意義を見出した宗教
上の聖地などが上げられます。

文化的景観は世界遺産の中では、文化遺産と複合遺産の登録基準の1つとして定められています。

自然美及び美的な重要性とは?

世界遺産の登録基準には、同じ景観を表す「自然美及び美的な重要性」「自然地理的特性」とい
う用語が使われます。

自然美とは、動植物が生み出す美的価値、山や川や海、さらには空の色や自然の変化が生み出す風景美とされています。
また、地理的特性は地域の特徴を表す用語で、山の形や川の流れなどの地形的特性、日本のように四季に変化がある気候的特性、工業や流通の特徴を表す産業的特性の中で、自然環境に限ったものは自然地理的特性と呼ばれています。

つまり、自然環境で評価されるポイントは、「今現在人の手が入らない」自然が作り出した美しさ
と、他にはない特徴があることが大切にされています。

ナハニ国立公園で評価されるのは自然美及び美的な重要性?自然地理的特性?

ナハニ国立公園は、「自然美及び美的な重要性」「自然地理的特性」という自然遺産の2つの登録基準で高い評価を受けています。

1つは、(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。

もう1つは、(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。

(7)の登録基準では、ヴァージニア・フォールズや国立公園内の風景の美しさが「自然美及び美的な重要性」が高いと評価されています。

(8)の基準では、自然の温泉地ラビットケトル・ホットスプリング、高緯度地域特有のツンドラなど
のナハニ国立公園にしかない特徴が「自然地理的特性」が地域特有のものとして評価されています。

世界遺産検定公式過去問集(3級・4級)からの例題

Q1.人間が自然環境をいかしなかがらつくり上げた、固有の文化が見られる景観を「文化的景観」と呼びます。世界遺産のどの分類に含まれるでしょうか?

(p76,2018年7月世界遺産検定4級)

1. 複合遺産
2. 自然遺産
3. 文化遺産
4. 宗教遺産

Q1.答え:(3)文化遺産

 

 

Q2.世界遺産登録において重要視されている概念のひとつである、「文化的景観」の説明として正しいものはどれでしょうか?

(p8,2018年3月世界遺産検定3級)

1. ひときわ優れた自然美や美的重要性を持つ景観
2. 周囲の自然環境や気候風土の影響を全く受けていない、人工的な景観である
3. 日本では「紀伊山地の霊場と参詣道」ではじめて認められた
4. 複合遺産に分類される

Q2.答え:(1)ひときわ優れた自然美や美的重要性を持つ景観

ナハニ国立公園のまとめ

ナハニ国立公園は、カナダのノースウエスト準州に位置し、1976年にユネスコの世界遺産に登録されました。
この公園は、壮大なキャニオン、温泉、瀑布(特に南ナハニ川上のナハニ大滝)、および未開の広大な野生地帯で知られています。
世界遺産に認定された理由は、その類稀な自然の美しさと地質学的な特徴、生態系の多様性、そして先住民文化との関連性にあります。
ナハニ国立公園は、地球上で最も保存状態が良い自然地域の一つとして、科学的研究の対象であり、冒険と自然愛好家にとっての目的地でもあります。

ナハニ国立公園のお話は、いかがでしたか?
世界遺産検定の過去問には、3級の問題も取り上げさせていただいたため、少々難しかったかも
しれません。
日本語では似通った意味に思える「景観」にも、世界遺産の登録基準では明らかな違いがありま
した。
世界遺産検定3級を目標にされている方は、ぜひ覚えておきたいですよね。