栃木県日光東照宮と群馬県富岡製糸場絹産業遺産群、関東の世界遺産

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世界遺産というと、どうしても西暦1桁の時代の遺跡が思い浮かびますよね。

同じ遺跡でも、近代の遺跡は語りてや資料が残っていることがほとんどです。

今回は、関東に残る近代日本の変化を語り継ぐ文化遺産を紹介させていただきますね。

前回の記事は 広島県への誘い:2つの世界遺産に登録された歴史的建造物原爆ドーム・厳島神社でした。
こちらもご覧いただくとよく理解できると思います。

関東に残る近代日本の変化を語る世界遺産

歴史のある関西に残る遺跡や寺社仏閣は、日本の始まりを今に語り継ぐ貴重な世界遺産です。
一方、関東には今に続く江戸時代と明治時代の日本の成り立ちを語り継いでくれる世界遺産が
あります。

栃木県と群馬県の世界遺産

関東で近代日本の成り立ちを語り継いでいるのは、栃木県が誇る日光東照宮を含む日光の社
寺、群馬県の富岡製糸場と絹産業遺産群の2つの世界遺産です。

日光の社寺

 

英語表記)Shrines and Temples of Nikko
登録区分)文化遺産
登録年)1999年
登録基準)(1),(4),(6)
国内の登録順位)No.10

 

日光の社寺は、栃木県日光市の大規模なお寺と神社が文化遺産として登録されています。

日光の社寺とあるように、神社は日光東照宮、日光二荒山神社、お寺は日光山輪王、合わせて二社一寺(にしゃいちじ)と呼ばれることもあります。

中でも日光東照宮は、江戸時代を築いた初代将軍徳川家康を祭る神社です。

日光東照宮は、徳川家康が亡くなった翌年の1617年に二代将軍徳川秀忠によって創建されまし
た。
創建に関する宗教的な取り決めは天海僧正が携わり、建築には戦国時代の城作りの実績がある藤堂高虎が主導したとされています。

1636年、三代将軍徳川家光の時代に大改装が行われ、建物全体が彫刻と漆塗りや金箔で彩られた正門「日暮御門」が完成します。

文化遺産の登録基準は3つあり、高い評価を受けたのは次の2つです。

動物、人間、自然、そして神々や幻想の生き物が描かれた「日暮御門」の彫刻は、1.人類の創造的才能を表現する傑作として高い芸術的価値があるとされています。

また、中国をはじめ海外の伝承と日本の風習が融合した建築物は、4.人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式として世界遺産に選ばれる大きな理由になっています。

関連記事で詳しく説明しています: 世界遺産日光東照宮は日本の誇りを体感する象徴的建築物と社寺の魅力

富岡製糸場と絹産業遺産群

英語表記)Tomioka Silk Mill and Related Sites
登録区分)文化遺産
登録年)2014年
登録基準)(2), (4)
国内の登録順位)No.18

富岡製糸場は、1872年に群馬県富岡市に建設された日本初の機械製糸です。

明治前半、幕末からの動乱と海外の圧力で不安定な情勢の中に置かれていた日本は、国の基盤になる経済成長が求められていました。

当時の経済成長は、生産力。

中でも、原材料を加工し輸出する工業の発展は欠かせないものでした。

日本の主要な輸出品になっていた生糸は、小規模の作業所や農業の副業で生産され、品質や供給量のバラつきが問題になっていました。

明治政府は、作業員を集め、蚕の飼育から生糸の生産までの工程を行う大規模工場の建設に取り掛かります。

工場の設計は、フランス人設計士のエドモン・オーギュスト・バスチャン、原材料と人員の手配は
実業家の尾高惇忠が請け負うことになります。

建物の柱を木材、壁や床は群馬県内で生産されたレンガづくりの木骨レンガ造の富岡製糸場が完成、設計段階から募集されていた人材によって完成した年に本格的な生産が始まります。

文化遺産としては、富岡製糸場の他に3件の産業遺産が登録されています。

当時革新的な養蚕技術を開発した人物、田島弥平旧宅。

養蚕の研究と人材育成に貢献した学校、養蚕改良高山社の建築物。

蚕の卵の貯蔵に利用された荒船・東谷風穴蚕種貯蔵所跡の3つは、養蚕技術の確立という2.あ
る期間、文化圏で人類の価値の重要な交流を示すものとして評価されています。

関連記事で詳しく説明しています: 富岡製糸場と絹産業遺産群:群馬の世界遺産が語る経済発展の軌跡

世界遺産検定の例題

 

Q1. 空欄にあてはまる語句として、正しいものはどれでしょうか。(世界遺産検定4級)

富岡製糸場の工場は、和洋折衷の( )の様式が取り入れられている。

1.書院造
2.木骨レンガ造
3.鉄筋コンクリート造
4.組積造

答え:(2) 木骨レンガ造

Q2.『日光の社寺』に含まれる建造物はどれか。(世界遺産検定4級)

 

1.中尊寺
2.東照宮
3.平等院
4.東大寺

答え:(2) 東照宮

 

Q3.次の文章を読んで、以下の問い合わせに答えなさい。(世界遺産検定3級)

イタリアの「ローマの歴史地区」は、(a)「ローマ時代を代表する」世界遺産である。写真の建物で
はローマ市民への娯楽として、剣闘士同士の戦いや、剣闘士と猛獣の格闘など、残酷な見世物
が行われていた。
(a)「ローマ時代を代表する」について、ローマの歴史地区と同じく、日本のある時代を代表し、唐
の影響を受けた国際色豊かな天平文化が花開いた都市にある遺産として、正しいものはどれ
か。

1. 古都奈良の文化財
2. 日光の社寺
3. 琉球王国のグスク及び関連遺産群
4. 古都京都の文化財

答え:(1) 古都奈良の文化財

まとめ

安定した時代では、芸術性や哲学的な文化が成熟しやすく、歴史の転換期には革新的な文化が現れやすいとされています。

戦乱が耐えなかった戦国時代から、徳川幕府による新しい時代に変わった江戸時代初期。

海外との交流に揉まれながら、世界に乗り遅れないように工夫した明治時代。

日光の社寺、富岡製糸場と絹産業遺産群は近代日本に起こった変化を現代に語り継いでくれて
いました。

次回の記事は 鹿児島と琉球王国沖縄の世界遺産・奄美大島、徳之島、屋久島、西表島の自然遺産です!お楽しみに!