ニュース番組やネットニュースでは、「キキクル」という災害用語が使われ始めています。
「キキクル」とは、「危機(が)来る」を元にした危険度分布(きけんどぶんぷ)の愛称で、2022年3月から使われ始めました。
台風?ハリケーン?サイクロン?「台風」の呼び方は各国の言葉で変わりますが、世界気象機関の国際分類では地理に関係なく英語でタイフーン(typhoon)と翻訳されています。
地域による分け方では、北インド洋ではサイクロン(Cyclone)、北大西洋ではハリケーン(
hurricane)と呼び方が変わります。
今回は日本の歴代台風ランキングを紹介します。
追記:新しいキキクル(危険度分布)、線状降水帯の記事追加(2022.8.18追記)
新しいキキクル(危険度分布)とは?線状降水帯と日本の歴代台風ランキング
日本はさまざまな災害が多い国です。その中でも台風は、度々発生しては大きな被害をもたらす厄介な存在の一つ。
しかし、台風といっても発生ごとに大きさが異なります。
ソラ先生、この前は台風の発生件数が増えていることや地球温暖化で海水温が上がっていることを教えていただきました。
今日のテーマは過去の日本で大きい台風の歴代ランキングです。
スカイさん今日もナビゲーターよろしくお願いしますね。
ちょっと、ランキング形式だと不謹慎化もしれませんが情報として知っておくことは大事な事だと思いますのでご了承ください。
風速と被害の関係
台風が他の低気圧と大きく異なるのは、風速のもたらす被害ともいえます。
風速がどの程度で被害が拡大するかは、天候に関する研究機関から指標が発表されています。
今回は、気象庁の参考資料にもある「東京大学大学院」が発表した指標から、大まかな例を紹介
させていただきます。
風速は、風が1秒間に進む速さを「m/s(秒)」と表記しています。
・風速20m/s 看板が壊れ、大人でも立っていられない
・風速30m/s 屋根が飛ぶことがあり、古い家屋は壊れることがある
・風速40m/s 乗り物が倒れ石が飛ぶ、人が倒される
・風速50m/s 木造家屋が倒壊する
・風速60m/s 丈夫な鉄塔が曲がることがある
被害甚大!日本台風ランキング
これまで日本で発生した台風のうち、歴史上もっとも最強だった台風をランキング形式でみてみましょう。
5位 狩野川台風
1958年9月27日に日本上陸した台風で、関東地方、伊豆半島に被害をもたらした台風として知られています。
死者、行方不明者も合計1,269人といわれており、521,715戸もの住家が浸水被害にあったそうです。
昔なので、今ほど家も丈夫ではなかったため、被害が大きくなってしまったのかもしれません。
今では、台風でそこまでの死者、行方不明者は出ませんが、昔の方が台風の脅威は大きかったのが分かります。
今から62年前の台風ですね。9月は台風の時期で被害の大きさが解かります。昨年の千葉県の被害も大きかったのですが関東地方は被害大きのですか?
太平洋側で発達して北上してきますから、どうしても太平洋側の方が被害は大きくなりますね。進路やコースにもよりますが関東地方に直接向かう台風は日本上陸するまで遮るものがないからだと思います。
4位 洞爺丸台風
この台風は1954年9月21日から9月28日にかけて発生しました。雨による被害はなかったのですが、暴風によって多くの命が失われた台風です。
死者は1,761人、浸水被害が103,533戸、船舶被害は5,581隻と多くの被害を出しており、洞爺丸台風は洞爺丸事故、岩内大火が起こった原因にもなりました。洞爺丸事故は日本の海難史上最悪といわれているくらい、大きな被害となりました。
この台風も66年前の台風ですね。どうやまる台風と呼びます。時期も9月ですね。北海道を中心に大きな被害を出した台風で海難事故と岩内意町で大火災を起こし多数の犠牲者をだしました。北海道の台風被害は今まで聞いた事がなかったので無いとは珍しい
この台風は九州地方、中国地方を抜けて日本海で勢力拡大した台風で有名です。水害よりも風台風だったために火災による焼失が大きかった台風ですね。今の時代よりも情報が乏しい時代であったことや木造の建物が多かったため大火災になったと記されています。
3位 室戸台風
1934年9月21日高知県室戸岬近くに上陸し、関西地方中心に大きな被害をもたらした台風です。
この台風により、大阪市の四天王寺に建てられた五重塔は全壊し、合計92,740棟もの全壊、半壊が発生しました。死者は2,702人、行方不明者は334人にのぼり、数字からも被害規模の大きさが理解できます。特に大阪府、京都府に被害が集中しました。
今から86年前の台風でしょうか。時期はやはり9月ですね。高知県の室戸岬に上陸した台風です。先ほどの説明では昔の方が情報が乏しいのと建物が木造だったためでしょうか?
この台風は最大瞬間風速が60m/sを超えたと言われています。また、日本の観測史上中心気圧が911.6ヘクトパスカルで一番低い記録を持っている台風です。
ヘクトパスカルが低い方が勢力が強いってことですか?
そうではありません。ヘクトパスカルは台風の中心気圧を言います。気圧の目安であって低いからって一必ずしも強大な台風であるとは言えないんですよ。ただヘクトパスカルが低くなると強い風になることを覚えていた方がいいかもしれませんね。台風の勢力は大きさ風の強さで決まってきます。
2位 枕崎台風
1945年9月17日鹿児島県川辺郡枕崎町近くに上陸し、日本中に甚大な被害を起こしました。
第二次世界大戦が終戦して間もないタイミングだったために、災害対策が不十分なままだったことも、被害が大きくなった原因だといわれています。
特に広島県は第二次世界大戦の被害が大きいうえに、この台風で追い打ちの被害をうけてしまったのです。死者は2,473人、さらに1,283人が行方不明に。終戦したばかりで十分な対応ができないとはいえ、痛ましい被害でした。
この台風は75年前の台風でやはり9月ですね。
戦後間もない頃に日本列島を縦断した台風で被害や犠牲者も数多く出ています。
この台風の中心気圧ってわかりますか?
鹿児島県枕崎市に上陸した台風で中心気圧は916.s1ヘクトパスカルです。先ほどの室戸岬台風の911.6ヘクトパスカルに次ぐ二番目に気圧が低い台風となっています。
中心気圧が低いから被害も大きかったのでしょうね。どれくらいの中心気圧が危ないんでしょうか?
一概には言えないのですが920を下回ると歴史に残る甚大な被害がでる、960ヘクトパスカルで大きな被害が出ると言われています。昨年の千葉県を襲った台風15号は960ヘクトパスカルで大きな被害がでました。そのあとの19号は955ヘクトパスカルで伊豆半島に上陸し千葉県を含む関東地方を襲いました。こちらは風雨が強く箱根で1000ミリを超えて被害が大きかったのは記憶に新しいですね。
1位 伊勢湾台風
日本に上陸した台風の中でもっとも最悪といわれている台風が、伊勢湾台風です。
1959年9月21日に発生し、26日に上陸しました。速度60から70キロほどの速さで日本に迫り、浸水被害などにより甚大な被害をもたらしました。死者4,697人、行方不明者401人、負傷者も含めると4万人以上が伊勢湾台風の被害にあったといわれています。
伊勢湾台風では多くの命を失い、戦後再び活気をもたらした日本に大ダメージを与えました。
伊勢湾台風は私もおばあちゃんから聞いた事があります。61年前の台風でやはり9月ですか!9月は海水温が高いからホント要注意ですね。
この台風のヘクトパスカルや特徴解かりますか?
伊勢湾台風は三重県に上陸し愛知県や岐阜県和歌山県奈良県を中心に大きな被害をもたらしました。上陸した時は929ヘクトパスカルでしたが上陸する前の海上では894ヘクトパスカルで最大風速は75m/sもあり暴風圏は半径300キロの超大型台風であったと記録されています。
そのため北上して中心気圧は落ちても929ヘクトパスカルの勢力を持ったままの上陸でしたから被害や犠牲者も上記のとおりとなりました。
歴代台風の最大風速を比較
それでは、先程の風速チェックを参考にしながら今回取り上げております台風の最大風速を比較してみましょう。
・風速20m/s 看板が壊れ、大人でも立っていられない
・風速30m/s 屋根が飛ぶことがあり、古い家屋は壊れることがある
・風速40m/s 乗り物が倒れ石が飛ぶ、人が倒される
・風速50m/s 木造家屋が倒壊する
・風速60m/s 丈夫な鉄塔が曲がることがある
・1位 伊勢湾台風 最大風速75m/s
・2位 枕崎台風 最大風速75m/s
・3位 室戸台風 最大風速60m/s
2000年以降に日本国内で被害が出た台風の最大風速
次に、2000年以降に日本国内で被害が出た台風の最大風速を見比べてみましょう。
・2003年 台風14号 最大風速74.1m/s
・2004年 台風22号 最大風速67.6m/s
・2010年 台風13号 最大風速65m/s
・2013年 台風30号 最大風速60m/s
・2015年 台風21号 最大風速81.1m/s
・2016年 台風14号 最大風速60m/s
歴代6位と最大風速が変わらない規模の台風が6つも、日本国内に被害を出していました。
海水温の上昇で台風の規模が大型化しているというのは、確かなようです。
1979年に発生した台風第20号
日本で最も大きな台風は、1979年に発生した台風第20号です。
この台風は、中心気圧が870hPaと観測史上世界で最も低く、最大風速は140kt(10分間平均)に達しました。
台風は、日本列島を縦断して全国に影響を及ぼし、北海道にも甚大な被害をもたらしました。
台風による被害は、死者110人・行方不明者5人・負傷者543人に及んだほか、住家全壊139棟・半壊1,287棟、床上浸水8,157棟・床下浸水47,943棟、耕地被害25,451ha、船舶被害19隻などとなった[8][11]。被害総額は1,057億円に達した[11]。なお、1つの台風で100人を超す死者が出たのは、2019年に発生した令和元年東日本台風が発生するまでは、これが最後の事例となっていた。
引用元:出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%AD%E5%92%8C54%E5%B9%B4%E5%8F%B0%E9%A2%A8%E7%AC%AC20%E5%8F%B7
台風第20号は、日本に甚大な被害をもたらした台風ですが、その教訓を活かして、今後の台風対策に取り組まれています。
今後の台風対策
台風対策には、次のようなものがあります。
- 台風の発生情報に注意し、早めに避難する。
- 家屋や建物などの耐震性を高める。
- 農作物や公共土木施設などの被害を軽減するための対策を講じる。
台風は、日本にとって大きな脅威です。
しかし、台風対策を講じることで、被害を最小限に抑えることができます。
新しい「危険度分布(キキクル)」とは?
ニュース番組やネットニュースでは、「キキクル」という災害用語が使われ始めています。
「キキクル」とは、「危機(が)来る」を元にした危険度分布(きけんどぶんぷ)の愛称で、2022年3月から使われ始めました。
かつては土砂災害警戒警報や大雨洪水警報がバラバラに発表されていましたが、大雨警報 (浸
水害) の危険度分布「浸水キキクル」、洪水警報の危険度分布「洪水キキクル」、大雨警報 (土砂
災害) の危険度分布「土砂キキクル」で段階が統一されることになりました。
背景には、「用語」と「段階」に細かな違いがありました。
1つの用語を時と場合に合わせて複数の意味で使う日本語は、「空気を読む」ことや時と場合に
合わせて対応することは得意なのですが、「基準を設けて判断する」ことは苦手としています。
「危険度分布(キキクル)」では、「警戒レベル」「警報の色」「意味」「行動」を統一することで判断に迷わないことを目的に運用が始まりました。
キキクルの警戒レベルは5段階
キキクルの具体的な危険度の色と避難行動を洪水警報の例で確認してみましょう。
・[警戒レベル:レベル5][地図の色:黒]
[意味:災害切迫][住民の行動:この状況になる前に避難を完了、命を守る行動]
・[警戒レベル:レベル4][地図の色:紫]
[意味:危険][住民の行動:速やかに安全な場所へ避難]
・[警戒レベル:レベル3][地図の色:赤]
[意味:警戒(警報と同じ)][住民の行動:高齢者等は安全な場所へ避難、それ以外は避難の準備、自主的に避難をしても良い]
・[警戒レベル:レベル2][地図の色:黄]
[意味:注意(注意報と同じ)][住民の行動:避難行動をキキクルで確認]
・[警戒レベル:レベルなし][地図の色:緑]
[意味:今後の情報等に留意][住民の行動:今後の情報や周囲の状況、雨の降り方に注意]
洪水警報のキキクルで最も危険な[警戒レベル:レベル5][地図の色:黒]では、既に洪水が起きて
いる可能性が高く、避難を始めると返って危険とあります。
「命を守る行動」とあるため物資や荷物を捨てて、とにかく水が押し寄せないところへ移動する必
要があります。
また、洪水の避難は低いところから高いところへの「垂直避難」が大原則です。
マンションの5階に住む方が平屋建ての公民館へ避難する必要はありませんし、一戸建ての方
が風や雨漏れが心配だからと2階から1階へ移動することは垂直避難とは反対の行動になって
しまいます。
警戒レベルの発表に注意して、適切な行動を取りたいものですね。
線状降水帯とは?
線状降水帯は、雨雲の積乱雲が次々と押し寄せ、地域一帯に記録的な降水量をもたらす気象条
件です。
既に「積乱雲と降水量のページ」でご確認いただいた方はご存じと思いますが、積乱雲(英語:
cumulonimbus cloud)は、地表と上空の気温差が大きいとき、高く盛り上がるように発達する雷
雲です。
積乱雲は、1つの高さが地上付近〜高度約16000 mととても高く、降水量が多い特徴がありま
す。
一方で、発生から消えるまでの時間は短く、「1つの積乱雲」が長時間留まって雨を降らせること
はありません。
ですが、海水温、高気圧と低気圧の配置によっては、積乱雲が複数、さらには次々と発生するこ
とがあります。
積乱雲群とは
積乱雲が複数集まった雨雲の集団を「積乱雲群」、さらに間を開けずに次々と積乱雲群が押し寄
せることを「線状降水帯」と呼びます。
積乱雲の「発生から消えるまでの時間が短い」という弱点を補ってしまったことになります。
線状降水帯が注目されるようになったのは、2016年8月の西日本豪雨からです。
当時の気象庁の研究結果から、集中豪雨の約3分の2の事例で線状降水帯が発生していること
が明らかになりました。
実用化されたのは、つい先日の2022年6月からです。
ニュース番組の速報、お天気アプリの通知に線状降水帯が発生したことが発表されるようになり
ます。
今後は、2023年に30分前の予測ができるようデータを収集し、2024年には都道府県単位、2029
年には市町村単位で正確な避難指示が出せることを目標にしています。
2000年以降の台風の規模は?
台風による被害の規模は、日本の歴代台風が平成から令和の台風を大きく上回っています。
一方で、2000年以降は歴代台風と同じ規模の台風が20年の間に6つも上陸指定いたします。
戦前戦後の時代とは比較にならないほどの建物の頑丈さ、都市の防災設備がある中でも人や住
宅に被害を及ぼしています。
気象庁が「危険度分布(キキクル)」を改め、情報と行動というソフト面の強化を図っていることも、台風が大規模化していることを指し示しているのではないでしょうか?
□参照
気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/ame_push.html
ウェザーニューズ
https://www.google.com/amp/s/weathernews.jp/s/topics/201809/030115/amp.html
いさぼうネット
https://isabou.net/thefront/disaster/point/wind.asp
まとめ
日本に被害をもたらした脅威の台風をランキング形式で紹介しました。まだまだ大きな台風はありますが、紹介した5つは特に被害が大きく、死者、行方不明者の数からも恐ろしさが伺えます。
今では設備が整っているため、台風でここまでの被害はでにくいものの、台風を軽視してはなりません。
万が一、台風の被害にあっても落ち着いて対応できるように、普段から被害への備えや避難場所の確認を行っておきましょう。
ソラ先生、今日はありがとうございました。9月に歴史に残る多きな被害が出ているのとヘクトパスカルの意味が理解出来ました。今まではニュースで聞いても中心気圧って何だろうと思ってましたから。
気象用語難しいですが、ランキング見ながら覚えてみれば頭の中に入りやすかったと思いますよ。今後は台風ニュース見てても中心気圧の事は少しは理解できますね。
はい。皆さんも9月は台風シーズンです。今年は何事もないのが一番ですが自然が相手です。昔と違って情報もしっかりしてますからお互いに気を付けていきましょう。
では、また当サイトに是非お寄りくださいね。