白川郷・五箇山の合掌造り集落とは?世界遺産の美しい村の魅力を徹底解説!

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世界遺産は、建築物や遺跡の美しさや歴史的な価値だけで選ばれるだけではありません。
暮している人々が考え、工夫して、受け継いだ暮らしの知恵の結果生まれた建築物が高い評価を受けることもあります。
日本国内の世界遺産の中でも、北陸地方の「白川郷・五箇山の合掌造り集落」は、ある特徴が評価され、1995年に世界遺産に登録されることになります。

前回の記事はG7が開催された広島の平和のシンボル原爆ドームの世界遺産登録の歴史 でした。

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白川郷・五箇山の合掌造り集落とは?

英語表記)Historic Villages of Shirakawa-go and Gokayama
登録区分)文化遺産
登録年)1995年
登録基準)(4), (5)
国内の登録順位)No.6

 

雪国で暮らす人々が生み出した生活の知恵は、「4.人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式」、「5.ある文化を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例」として文化遺産の基準で世界的な評価を受けています。

白川郷・五箇山の合掌造り集落の歴史

歴史的な建物そのものよりも、人々が生み出し、受け継いだ暮らしの知恵そのものに、普遍的な価値があると評価されたことに違いはないのでしょう。

白川郷・五箇山の合掌造り集落は、飛騨地方の白川郷と五箇山にある合掌造りの集落群です。
1995年12月9日にユネスコの世界遺産に登録され、日本では6件目の世界遺産となりました。

合掌造りとは、雪の重みに耐えるために、屋根を大きく反らせた伝統的な建築様式です。
白川郷・五箇山の合掌造りの集落は、13世紀から16世紀にかけて建てられたもので、現在でも約200棟が残っています。

白川郷・五箇山の合掌造り集落は、雪深い山間部に位置していることから、冬でも雪が積もらず、生活しやすいように設計されています。
また、集落の周囲には、田畑や林が広がり、豊かな自然に囲まれています。

白川郷・五箇山の合掌造り集落は、日本の伝統的な建築様式と美しい自然が融合した、世界でも珍しい景観を有しています。
現在でも、人々が生活している集落であり、日本の原風景を今に伝える貴重な場所です。

白川郷

白川郷・五箇山の合掌造りへのアクセス

白川郷・五箇山の合掌造り集落へのアクセスは、飛騨高山駅からバスで約1時間です。
集落内には、いくつかの観光施設やお土産屋さんがあり、一日かけてゆっくりと散策を楽しむことができます。

 

白川郷・五箇山の合掌造り集落にまつわる地域と天気の特徴

世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」は、山間部の豪雪地帯で生まれた合掌造りという独自の建物の特徴が評価されています。

なぜ、日本国内でも白川郷の建物は独自の発展を遂げたのでしょうか?

 

現代の雪国の建物の特徴

令和の現在でも、南北約3500km、東西約300kmの日本国内には、地域によって気候の大きな違いがあります。

例えば、九州地方に桜が咲く頃、北海道地方では氷点下の吹雪で雪が降り積もるということは当たり前に起きています。

現代の雪国北海道の建築物には、瓦屋根の変わりに雪を溶かすヒーター付の屋根、結露と冷気防止の二重窓か厚手の防寒窓、建物の内側に配置された水道管やガス管、全て建物の内側に設置された集合住宅の共用スペースがあります。

これらは、寒さによる凍結と雪を防ぐためのものです。

雪の白川郷

雪の白川郷

合掌造りの特徴と背景

北陸地方の世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」では、登録されている名前のように「合掌造り」と呼ばれる三角屋根が特徴的です。

三角屋根そのものは、日本国内でも珍しくはありませんが、1m以上の厚みがある急勾配の萱葺き屋根は北陸地方特有の作りです。

叉首構造の切妻造り」と呼ばれる急勾配の屋根は、屋根の雪下ろしの負担を減らし、梅雨の時期の水はけを良くする目的とされています。

また、2階建ての建築物が珍しかった当時の住宅としては高層の3階建てをしています。

その目的は2つあり、1つは空気を含む空間を設けることで、居住スペースの断熱性能を高めるためです。

もう1つは、農作業が行えない冬の間の作業スペースを確保するためです。

なぜ、防水性・通気性・断熱性を図る必要があるのでしょうか?

 

北陸地方特有の気候と日本アルプス

「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の2つの集落の内は、白川郷は岐阜県と富山県にまたがる庄川流域地域に存在しています。

もう1つの五箇山(ごかやま)、は富山県の南西にそびえ立つ日本アルプスの渓谷にある山間部の集落です。

富山県は、新潟県と並ぶ豪雪地帯の北陸地方です。

岐阜県は中部地方・東海地方に分けられていますが、白川郷は富山県との県境に接するほど北部にあるため、実際の天気予報では北陸地方の範囲に含まれます。

北陸地方は、日本海側に面し、一年を通して湿度が高く降水量の多い日本海側気候の中心の地域でもあります。

日本海側気候は、日本列島に北西から吹き付ける季節風と九州西方沖から対馬海峡を通って南から北に流れる対馬海流の影響を受けています。

元々暖かい暖流の黒潮の一部から始まる対馬海流は、水蒸気が蒸発しやすい環境が生まれます。

さらに、北西から冷たい風が吹き付けるため、冬の季節の日本海側は北側ほど雪が降りやすくなります。

雪の重さは含まれている水分の差で1㎥あたり約50kgからまで違いがあります。

北海道や本州の標高の高い山頂付近では、気温が低く水分が少ない約50kg/1㎥のふわふわとした雪が積もります。

一方で、北陸地方の豪雪地帯に積もる雪は気温が高く水分が多いため100〜150kg/1㎥と重たい雪が積もります。

現代の雪国北海道の建築物は、寒さによる凍結と雪を溶かすための設備を備えています。

電気や温水の配管が普及していなかった当時の北陸地方では、「雪を溶かす」よりも「雪の重みに耐える」「雪を降ろす」ための急勾配の屋根を持つ「合掌造り」の建物が必要だったことが、白川郷で独自の生活文化に大きな影響を与えていました。

 

世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題

Q1.「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の説明として、正しくないものはどれでしょうか。

 

1.合掌造りの家屋は床面積が広いのが特徴である
2.ほかの土地との交流が少なく、昔からの独自の生活文化が残った
3.一族が同じ家に暮らす大家族制が保たれてきた
4.この一帯はほとんど雪が降らない地域である

答え:(4) この一帯はほとんど雪が降らない地域である

引用元:2018年3月,p66,世界遺産検定4級

 

Q2.「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の説明として、正しいものはどれでしょうか。

1.縄文時代に人々が生活した様子がわかる遺跡である
2.山間部の豪雪地帯にある、昔からの独自の生活文化が残る集落である
3.戦国時代に武装化した農民が、山奥に立て籠もった様子を伝える集落である
4.山や大土地を所有した富裕農家が贅沢な装飾を施した家屋が残る

答え:(2) 山間部の豪雪地帯にある、昔からの独自の生活文化が残る集落である

引用元:2018年7月,p82,世界遺産検定4級

 

Q3.白川郷・五箇山の集落で世界遺産に登録されている集落は、山間の豪雪地帯の生活に合わせた造りをもつ家屋がみられます。何と呼ばれる造りでしょうか。

1.飛騨造り
2.合掌造り
3.土壁造り
4.高塀造り

答え:(2) 合掌造り

引用元:2018年9月,p94,世界遺産検定4級

 

Q4.「白川郷・五箇山の合掌造り集落」がある地域の特徴は何でしょうか。

1.農業が盛んな地域であるか
2.日本有数の豪雪地帯である
3.西洋文化をいち早く取り入れた地域である
4.日本において日照時間が特に長い地域である

答え:(2)日本有数の豪雪地帯である

引用元:2018年12月,p105,世界遺産検定4級

 

まとめ

世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」のお話はいかがでしたか?
世界遺産検定4級の問題は解けましたか?

合掌造りの建物が、豪雪地帯の冬の暮らしを乗り越えるために発展したように、日常生活に関する遺産には、地域や気候などの背景を知っておくことも大切です。

他の地域の世界遺産を調べる際にも、当時の時代背景、気候や地域の文化について調べておくと、世界遺産検定に備えることもできますよね。

次回の記事は 厳島神社はなぜ世界遺産に登録されたのか?歴史と見どころを徹底解説!です!お楽しみに!