世界遺産に占める複合遺産の割合と希少価値・複合遺産はどんな世界遺産

記事内に広告が含まれています。

世界遺産に文化遺産と自然遺産があることは、興味を持って調べられている方はご存知のことでしょう。

世界遺産には、もう1つ複合遺産というものがあります。

複合遺産と呼ばれているように、文化遺産と自然遺産が合わさった世界遺産というのは、想像しやすいかと思います。

今回は、複合遺産の具体的な登録基準をまとめさせていただき、実際の複合遺産を照らし合わせて紹介させていただきます。

前回の記事は 鹿児島と琉球王国沖縄の世界遺産・奄美大島、徳之島、屋久島、西表島の自然遺産でした。
こちらもご覧いただくとよく理解できると思います。

複合遺産に選ばれるのは難しい複合遺産とは?

複合遺産は、文化遺産と自然遺産両方の登録基準に当てはまる世界遺産です。

 

複合遺産の登録数はほんの僅か

2021年7月時点で、世界遺産の登録数は1154件、文化遺産が897件自然遺産が218件です。

それでは、複合遺産はというと、僅か39件。

世界遺産に占める割合は、3%です。

さらに、日本国内で複合遺産に登録されている世界遺産は……0。

複合遺産は、世界遺産の中でも狭き門といえます。

複合遺産に選ばれる基準

複合遺産の基準の前に、世界遺産の登録基準について復習してみます。

世界遺産は、10項目の登録基準に基づいて審査が行われます。

10項目の中で、1~6項目までは文化遺産の登録基準で、建造物・遺跡の歴史的・文化的・普遍的・芸術的・学術的価値が評価に影響を受けます。

7~10項目までが自然遺産の登録基準で、風景の美しさよりも、生き物や自然現象の希少さと、申請国の保護の状況を重視した審査が行われます。

世界遺産の8割以上は文化遺産で占められています。

自然遺産は残り1割ですので、自然遺産に選ばれるだけでも貴重なことです。

さらに複合遺産に選ばれるためには、文化遺産と自然遺産両方の基準を満たす必要があります。

世界遺産の中でも、僅か3%という少なさには、申請そのものが難しいためといえます。

 

世界の複合遺産が高評価を受けた理由

世界遺産の中で僅か3%の複合遺産に選ばれるためには、文化遺産と自然遺産両方の基準を満たす必要があります。

現在登録されている複合遺産は、どのような点で高い評価を受けているのでしょうか?

 

カンチェンゾンガ国立公園(インド)

 

英語表記)Khangchendzonga National Park
登録区分)複合遺産
登録年)2016年
登録基準)(3), (6), (7), (10)

 

1つ目の複合遺産は、インドの北西部、ブータン、ネパール、中国と国境を接するシッキム州にあるカンチェンゾンガ国立公園です。

シッキム州では、仏教の宗派(国際的)が折り重なる地域でした。

シッキム州は神話が信仰されていた時代から、崇拝の対象とされていました。

地域に仏教が広まった16世紀頃、チベット仏教を信仰するレプチャ人によって、チベット仏教の重要な寺院が建設されたことで歴史が継承され続けていると評価を受けます。

また、地域の植物と動物の中には多くの絶滅危惧種が暮らしているため、生物多様性の保全の目的で世界遺産委員会から異例の推薦を受け、複合遺産として登録されることになります。

 

ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群(トルコ)

 

英語表記)Göreme National Park and Rock Site of Cappadocia
登録区分)複合遺産
登録年)1985年
登録基準)(1), (3), (5), (7)

 

トルコ中央にあるギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群は、紀元前に建設された石造りの町の遺跡が残る地域です。

紀元前6世紀頃のアケメネス朝ペルシアによって整備が進められたカッパドキアは、古代ローマ、東ローマ帝国、オスマン帝国と支配する勢力が入れ替わるたび、整備と戦乱の中でも地域の文明の証拠として残り続けました。

妖精の煙突と呼ばれる、岩石の風化で生まれた幻想的な渓谷の中に佇む石造りの住宅、岩窟教会、そして地下都市カイマクルが現代まで残り続けています。

文化遺産としては、初期のキリスト教が広まった歴史的な建築物が文明の証拠として高い評価を受け、自然の渓谷の中に佇む遺跡そのものは自然と文明の生んだ美しさとして複合遺産の基準を満たしたとされています。

 

マチュ・ピチュの歴史保護区(ペルー)

 

英語表記)Historic Sanctuary of Machu Picchu
登録区分)複合遺産
登録年)1983年
登録基準)(1), (3), (7), (9)

 

ペルーの空中都市マチュピチュは、ドキュメンタリー番組で見たことがない人がいないほど有名な世界遺産です。

15世紀頃に建設されたとされるマチュピチュは、スペインによるインカ帝国征服の後、長らく人の
目に触れることはありませんでした。

1911年、アメリカの探検家によって発見されたマチュピチュは、インカ帝国に「記録」という習慣がなかったため、現代でも調査が続いています。

文化遺産としては「建築上疑う余地のない傑作」、自然遺産としても「人と自然環境の相互作用の顕著な例」と申請された当時の最高の評価を受け複合遺産として登録されることになります。

 

世界遺産検定の例題

 

Q1.空欄にあてはまる語句として、正しいものはどれでしょうか。(世界遺産検定4級)

世界遺産は、文化遺産と自然遺産、(       )の3つに分類されています。

1. 複合遺産
2. 混合遺産
3. 人間遺産
4. 無形遺産

 

答え:(1) 複合遺産

 

まとめ

世界遺産の中でも、登録の際に高い評価を受け、文化遺産と自然遺産両方の基準を満たす必要がある複合遺産。

登録数は2021年時点で39件と、世界遺産の中でも3%しかありません。

貴重な世界遺産の中でも、さらに貴重な複合遺産、世界遺産検定で3級を目指す方は、有名な複合遺産の名前を覚えておく必要がありそうですね。

次回の記事は 日本を代表する自然のシンボル富士山の魅力と歴史と世界遺産登録についてです!お楽しみに!