ことばは蛍光ペンのようなもの?英語と日本語をカテゴリーで色分け!

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前回説明したのが、「ことばは認識を反映する」というものです。
目の前の現実をどのように見ているか、その「ものの見方」がことばに反映されているということです。
この「ことばは認識を反映する」ということを、今回は「蛍光ペン」のたとえを用いて説明していきますね。
かなり昔に習ったものですが本質は変わってないと思います。

 

ことばは世界を色分けする

「ことばは蛍光ペンのようなものである」ということです。
皆さんは、蛍光ペンを使ったことがありますか。使うとしたら、どのようなときに使われるでしょうか?

読書をする際であれば、大事なところに線を引くために使うという方が多いでしょう。
一度蛍光ペンで線を引いておくと、その本を読み返したときに、線を引いた部分に目が留まりやすくなります。

 

蛍光ペン

蛍光ペン

蛍光ペンの役割

蛍光ペンは線を引いていない他の文と比べて、光を当てられているかのように際立つからです。
英語では蛍光ペンのことを「ハイライター」と言います。
「注目すべき部分をハイライトする(=光を当てて際立たせる)」というのが、蛍光ペンの役割であると言えるでしょう。

ことばの役割についても、同じことが言えます。

①「ことばにする(言語化する)」とは、目の前の現実の一部に光を当て、そこに注目するということに他なりません。

②「ワインが半分もある」という表現は、 ワインが「ある」という部分に光を当てて際立たせています。
一方、ワインが「ない」という部分は背景に溶け込み、ひとまず無視されることになるのです。

「蛍光ペン」としてのことばは、現実の一部に光を当ててその部分を際立たせる、という話をしてきました。

また蛍光ペンには、「一つの文章を際立たせる」という役割の他に、「文章を色分けして分類する」という機能があります。

この特徴をことばに当てはめて考えてみると、ことばは「世界を色分け」するという役割も持っている、ということになります。

ことばとカテゴリー

ことばとカテゴリー(=モノをどのように分類するか)との関係について紹介します。

ことばは「蛍光ペンのようなものである」と述べました。
その点で、蛍光ペンと似ているという意味です。
同じたとえを用いつつ、ことばの持つ別の機能について紹介します。

「現実を色分けして分類する」という機能です。

色を効果的に使い分ける

蛍光ペンには複数の色があります。赤色、青色、黄色、橙色、緑色。この5色が一般的でしょうか。

読書をする際、また何かをノートにまとめる際、これら複数の色を効果的に使い分けることで、物事を整理して理解できるようになります。

学校で使おう蛍光ペンの応用

高校時代、私が世界史の勉強をしていた時の話です。

第一次世界大戦以降のヨーロッパについて、「フランスは〇〇をした」「ドイツは□□をした」「イギリスは△△をした」……と、どの国が何をしたのか、覚えるのに苦戦していた時期がありました。

そのとき私は、蛍光ペンを使って「色分け」をしてみようと思いつきました。

ノートに鉛筆で年表を書き、そこに各国の動向を記します。
その上で、フランスに関する出来事は青色で、ドイツに関する出来事は黄色で、イギリスに関する出来事は赤色で……と、蛍光ペンで線を引いたのです。

そうすることで、各国の動向を色によって見分けられるようになり、歴史の流れを整理して理解できるようになりました。

蛍光ペンで色分け

蛍光ペンで色分け

蛍光ペンはモノを色分けして分類する

少し話が逸れてしまいましたがポイントは、「蛍光ペンはモノを色分けして分類する」ということです。そしてこの機能は、ことばにも備わっています。

日本語のことばの「カテゴリー」

これを専門的な用語で説明すると、ことばには「カテゴリー」を形成する機能があるということになります。

モノの特徴に従って、現実を「分類」していくということです。一例として、日本語の「助数詞(数詞類別詞)と呼ばれる色分けを見てみましょう。これは「モノの数え方」に関する色分けです。

日本語の不思議~人間を数える時は?

例えば「人間」を数えるとき、日本語では「〇〇人(にん)」や「〇〇名(めい)」ということばを用います。

人に対して、「〇〇個」や「〇〇匹」という数え方はしません。一方で、「動物」に対しては「〇〇匹」ということばが用いられます。

 

日本語の不思議~動物を数える時は?

さらに、動物の種類によっては、「〇〇頭(とう)」や「〇〇羽(わ)」と数えられる場合もあります。

数える対象が何であるかによって、日本語では異なることばが用いられるのです。

蛍光ペンとカテゴリー

蛍光ペンとカテゴリー

英語のことばのカテゴリー分けは何色?

蛍光ペンのたとえを用いれば、「人間は赤色(=「〇〇人」)。
動物は青色(=「〇〇匹」)……でも、こっちの動物は濃い青色(=「〇〇頭」)で、あっちの動物は薄い青色(=「〇〇羽」)」というように、色分けをしていると言えるでしょう。

一方英語には、日本語の助数詞に当たるものは存在しません。

その代わりに、可算名詞や不可算名詞という別の「色分け」のシステムを持っています(『認知文法論I』55頁)。
今回はここまで!次回に続きますね。

まとめ

ひとまずここでは、「ことばは蛍光ペン」のようなものである。
ことばには、「現実の一部に光を当てて際立たせる機能」がある。
また、「モノを色分けして分類する機能がある」ということを、覚えておいていただけたらと思います。
次回は英語の可算名詞や不可算名詞という別の「色分け」のシステム具体的な例を出していきますので、英会話にもきっと役に立ちますよ。
ぜひ見てねー!