前回は同じお米であっても、数え方が変わる話をしました。「一本でもニンジン♪二本でもサンダル♪三艘でもヨット♪」という歌がありますが「本」という数え方は物理的な物と思っていました。
オリンピックを見ていてもう一つスポーツの疑問です。ホームランでは本を使います。
テニスのサーブやサッカーのシュートでも本を使う場面があります。柔道のイッポンはどうかな?今回は「本」という例を見ていきたいと思います。
「〇〇本(ほん)」という数え方
さまざまなものを数えるときに、なぜ「本」という一つの数え方が用いられるのか。
この問いについて考えていきましょう。
実はこの問い、米国のジョージ・レイコフという言語学者によって研究が行われています。
以下では、おもに彼の著書Women, Fire, and Dangerous Thingsに基づいて解説をしていきます。
本(ほん)という数え方が使われている物
おなじみのクイズ形式で楽しんでみたいと思います。
Q1.はじめに、「本」という助数詞が使われるものを三つ挙げてみてください
「一本でもニンジン♪」「えんぴつを1本貸してくれませんか」「5本のろうそくに火を灯した」「髪の毛が数本抜けた」など、いずれも「本」という数え方ができます。
Q2.これらに共通する特徴は?
しかし「本」という数え方は、物理的に細長いもの以外にも使われます。
ホームランは何故本を使うの
野球のヒットやホームラン、バスケットボールのシュート、バレーボールのサーブなどがそうです。
「彼は昨年、50本以上のホームランを打った」や「彼女はサーブを1本も外さない」などがその例です。
Q3.上記やスポーツ以外で「本」で数えられるものは?
さらに、ラジオやテレビ番組、映画なども「本」で数えることができます。「私は年間100本以上の映画を見ます」などが挙げられます。
ホームラン、上記クイズ……なぜこれらは、「本」という数え方は、物理的に細長いものと同じ「本」という数え方がされるのでしょうか?
一つの仮説を立てる
これらが全て「本」で数えられるという事実から、一つの仮説を立てることができます。それは、全て同じ「本」という数え方が使われるこれらは同じカテゴリーに属している、という仮説です。
より厳密に言えば、同じカテゴリーに属するものとして「認識」されているということです。蛍光ペンのたとえで言い換えれば、「同じ色で色分けしている」ということになります。
この前提に立てば、問いはもう少し明確になるでしょう。
まとめ
私たちは何を基準にして、えんぴつや髪の毛、ホームランや映画を同じ色に「色分け」しているのでしょうか?
私たちは何に注目して、「本」で数えることのできるこれらを同じカテゴリーのものとして認識しているのでしょうか?
次回はその謎を解いていきますのでぜひみてね~!