可算名詞と不可算名詞とは?日本語と外国語をくらべて解かり易く解説

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ここまで、蛍光ペンのたとえを用いてことばについて考えてきました。前回では、ことばには「色分け」をする機能があるという話も紹介しました。実はこの「色分け」に注目すると外国語と日本語を比べる楽しさが分かってきて英会話にもきっと役にたちます。今回は見事に要約してくれている一文を紹介しましょう。

日本語と外国語の違い、可算名詞と不可算名詞とは?

 外国語の「色分け」の仕組み

日本人が外国語を学ぶということは、日本語に存在しない「色分け」の仕組みを学ぶことでもあります。
逆に外国の人が日本語を学ぶときには、日本語にユニークな「色分け」の仕方を学んでいることになるでしょう。
前回触れた「助数詞」を用いたものの数え方は、日本語を母語としない人にとっては馴染みのないものと考えられます。
日本語を話す私たちにとって馴染みの薄い「ものの見方」を見ていきたいと思います。

可算名詞とは

具体的には、「可算名詞・不可算名詞」というものです。
英語を勉強したことのある方はご存知と思いますが、英語には「可算名詞・不可算名詞」と呼ばれる厄介な現象があります。

分かりやすい表現に言い換えると、「数えられる名詞・数えられない名詞」というものです。
「人は数えられる。だから可算名詞。1人しかいないときは、a student(1人の生徒)というようにaをつけ、複数人いるときはthree students(3人の生徒)というように語尾に-sをつける」というものです。

ここまでは問題ないかもしれません。
「人は数えられる」ということは、英語を母語としない私たちにもよく分かります。
ところが、「パンは数えられない」と言われたらどうでしょう。

不可算名詞とは

英語で「パン」を表すときに用いられるbreadということばは、不可算名詞すなわち数えられない名詞であるとされています。

目の前にパンが1つあるとき、a breadということはできません。
3つのパンをthree breadsということもできません。

不可算名詞の他の例としては、「紙」を表すpaperも有名です。
一枚の紙をa paperと呼ぶことはできず、3枚の紙をthree papersということもできません。

英会話

英会話

英会話に役立つクイズ形式

「人は数えられるのに、パンと紙は数えられない。」英語を母語としない私たちにとっては、あまり納得のいかない区別です。

ここからはおなじみのクイズ形式にしてみましょう!

Q1.「パンが3つある」と英語で言いたいときは?パンはbreadです。

three breadsと言えない代わりにthree pieces of breadという言い方があります。

 

Q2.「3枚の紙」と英語で言いたいときは?紙は paperです。

 

パンと同様に、「3枚の紙」をthree papersと言うことはできませんが、代わりにthree sheets of paperという言い方があります。

これは日本語の「助数詞」と似ている興味深い現象です。
また、可算名詞と不可算名詞の区別には他にも不思議な特徴があります。

「同じ名詞が、可算名詞として使えるときもあれば不可算名詞として使えるときもある」というものです。

Q3.「ビーフ、ポーク、チキン」の「チキン(鶏肉)」です。チキン(chicken)は英語では可算名詞?不可算名詞?もしくは両方?

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このことばは、可算名詞としても不可算名詞としても使うことができます。
まず不可算名詞として使った場合、次のような言い方が可能です。
We had chicken yesterday.
ここでは、直前にaもついておらず、語尾に-sもついていません。そのため、不可算名詞として使われていることが分かります。
続いて、可算名詞として使われている用例を見てみましょう。
We had a chicken yesterday.
一つ前の例文とほとんど同じですが、chickenの前にaがついています。Chickenが可算名詞として扱われている証拠です。
フライドチキン

フライドチキン

この表現は、前後の文脈がないと少し不自然かもしれませんが、文法的に間違いというわけではありません。

英語で何故表現が違う?

さて、これら2つの表現は何が違うのでしょうか?

またその違いは、何を意味しているのでしょうか?
前々回で、「ことばは認識を反映する」という話をしました。
「ワインがボトルに半分入っている」という現実を見て、「半分もある」と表現するか、それとも「半分しかない」と表現するか。

話し手がどのように現実を認識しているかによって、ことばの使い方が変わるという話です。

サラダなどに入ったチキン(鶏肉)を食べたい

では今回の2つの例、不可算名詞を用いたWe had chicken yesterdayと、可算名詞を用いたWe had a chicken yesterdayでは、それぞれどのような「認識」が反映されているのでしょうか。

興味深いことに、どちらの表現を用いるかによって、「どのような形でチキンを食べたか」が変わってしまうそうです。

まず、不可算名詞を用いたWe had chicken yesterdayについて考えてみましょう。

こちらの表現は、「サラダなどに入った鶏肉を食べた」という場面を表します。

一方、可算名詞を用いたWe had a chicken yesterdayという表現では、「鶏をまるごと食べた」という場面が連想されるようです。

可算名詞としてのチキン(a chickenまたはchickens)は、鶏としての形をはっきりと保っている「チキン」を表す一方、不可算名詞としてのチキン(chicken)は、鶏としての形をもはや失った(例えば、バラバラに切られてサラダに入っているような)「チキン」を表す、ということです。

クリスマスチキン

クリスマスチキン

まとめ

不可算名詞として用いるか、それとも可算名詞として用いるかによって、「どのようなチキンか」に違いが出るのです。外国人の留学生が多い中、日本語って難しいなと思ってることでしょうね。コンビニでよく外国人がレジをしていますが、言葉の理解を示してあげたいですね。
もうしばらく続きますのでお付き合いください。