今年も異常な暑さによる電力不足で計画停電等の電力不足がニュースで流れていました。
また毎年、台風の時期になると日本各地で停電が起こってしまいます。さらに、地震では発電設備そのものが停止するため、さらに被害の大きい大規模停電が起こります。
そして、2018年に北海道内全てで起こった停電はブラックアウト、全域停電と呼ばれています。
今回は停電についてシリーズでお届けします。
ブラックアウトと星空と暖かさシリーズその1です。
大規模停電と全域停電とブラックアウト
大規模停電という言葉は災害時に使われていますが、具体的にどの程度の規模を指すのでしょうか?
調べてみましたが、具体的に「○○以上の被害を大規模停電とする」という定義は見当たりませんでした。
大規模停電の実例
そこで、電力会社や気象庁の記録に残っている停電を2005年まで振り返ってみます。
・新潟大停電(2005年12月22日)65万軒
・新座洞道火災事故による停電(2016年10月12日)58万軒
・令和元年房総半島台風(2019年9月9日)11万軒
台風や事故による停電は、11〜65万軒の規模を大規模停電として記録していました。
・福岡県西方沖地震(2005年3月20日)100万軒
・東日本大震災(2011年3月11日)440万軒
・北海道胆振東部地震(2018年9月6日)295万軒
地震では規模が大きく、100〜440万軒以上が大規模停電と呼ばれています。
ブラックアウトとは
他にも、大手電力会社が管轄している「地域全体の電力が全て停止」してしまうことをブラックアウト(全域停電)と呼ばれるようになりました。
概ね10万軒以上の停電を大規模停電、地域一帯が全て停電してしまうとブラックアウトと覚えておくとわかりやすいですよね。
北海道胆振東部地震で起こったブラックアウト
2018年9月6日3時7分、北海道を最大震度7の大地震が襲いました。
北海道胆振東部地震です。
その10数分後の3時25分、北海道全域の電力が失われる全域停電ブラックアウトが起こります。
なぜブラックアウトは起こったのか?
ブラックアウトの前に、発電と使用の関係が電気の場合は独特です。
電気は、発電する量(供給)と消費量(需要)が常に一致していないと、電気の品質(周波数)がブレてしまう特徴があります。
地震直後、震源地に近い①苫東厚真火力発電所は2号機と4号機に損傷が疑われたため緊急停止させます。
その後、②風力発電所と③水力発電が次々に停止し、④苫東厚真火力発電所の1号機が停止したことでブラックアウトが起こります。
実は、①苫東厚真火力発電所の2号機と4号機が停止した前後は、真夜中の地震のため北海道民は一斉に電気とテレビをつけ、電力の使用も増えていました。
発電する側では、何とか電力の消費を控えてほしいものですが災害時のテレビは貴重な情報源、さらに災害があまり身近ではなかった北海道民はなんの迷いもなく電気をつけ、ブラックアウトにつながる危険をおかしてしまいました。
ブラックアウトの期間と復旧
ブラックアウトの期間は、おおよそ2〜3日でした。
電力会社は、まず小規模の水力発電所で発電した電力で火力発電所を動かし、増えてきた電力
供給で苫東厚真火力発電所を稼働させ復旧したと発表しています。
先ほどの、発電する量(供給)と消費量(需要)を常に一致させながら発電所を復旧させなければならないことが一般に広く知られるキッカケになっています。
停電事故を研究している電力広域的運営推進機関によると、5日間は計画的に復旧と停電が繰り返されていたと発表されています。
復旧したよう思えて、実は電気が使えるようになったあとも復旧は続いていたことは後になってから知ったことです。
大規模停電の電気が使えない不便さ
ブラックアウトを経験するまで、大規模停電を経験したことがなかった私の暮らす地域の人々は「電気が使えない」現実を身を持って体験することになります。
家電は全て使えなくなる
まず、当然ですが家電は全て使えなくなります。冷蔵庫は「ただの冷たい倉庫」に変わり、テレビはつかなくなり、電子レンジも使えなくなります。
調理機器がガスの場合、料理をすることはできますが、給湯器は電気が必要なので温かいお湯は出なくなります。
冷暖房が使えなくなることは、真夏や真冬では命に関わる問題です。
インターネットが切れる
現代的な暮らしには欠かせないインターネットは、もちろん使えなくなりました。
さらに深刻なことに、携帯電話会社の回線はブラックアウト当日は使えたのですが、突然使えなくなりました。
携帯電話会社の回線やフリーWi-Fiは、基地局にバッテリーで電力を蓄えていましたが、あくまで緊急用のため24時間程度しか持たなかったことが後になってわかりました。
街灯が消えた街
ブラックアウトでは、室内はもちろん道路の街頭も全て消えてしまいます。
街灯が消えた街は、懐中電灯があっても2〜3メートル先がわかる程度で方向感覚を失うほど真っ暗です。
信号機は止まり、国道のような大きな交差点では警察官が誘導をしていましたが、生活道路は夜には車で走ることはできません。
電気が普及するよりもはるか昔、人が夜に出歩かなかったのは本当に足元もわからないほど暗かったからなのでしょう。
病院の電源も僅か数日
よく「病院は自家発電設備があるから大丈夫」といわれていました。もちろん、自家発電設備があり最低限の治療が行えていたことはラジオで放送されていました。
後に医療関係者の方に訪ねたところ、事態は深刻で、ブラックアウトが数日続いていたら自家発電用の燃料が不足し電気は全く使えなくなっていたとのことです。
自家発電設備は、人工呼吸器や人工心肺装置などの生命維持装置や緊急手術用の電力に使われるため、レントゲンやMRIを使った現代的な治療はできていませんでした。
何かあったら病院にと思っても、設備が使えなくなると助かる命も助からないことを知ります。
まとめ
いつ起こるかわからない災害。
四方を海に囲まれた日本では台風の被害や活断層が多い島国。
南海トラフト地震の心配や不安定な世界情勢。
日本がいつ戦争に巻き込まれてもおかしくない状況も考えてしまいます。
電気があるのが当たり前の時代に停電は考えたくない事態ですね。
災害の非常事態に備えてアウトドアの知識は災害対策(防災)に役立つように思えてなりません。
また次回も停電にまつわる話です。