2018年地震で北海道全域で電気が消えた全域停電ブラックアウト。
地震国、日本ではいつ起きるか分からない地震。
地震により突然ブラックアウトしたら貴方はどうしますか?
夜電気が付かない、いつ付くか不安、余震が襲いかかる中パニックにならないためにもエピソードをお伝えします。
ブラックアウトと星空と暖かさシリーズその5です。エピソード1です。
地震でブラックアウトと星空と暖かさエピソード編1
真夜中に起きた停電は、3日間続き、灯りもなく冷蔵庫は止まり、テレビは映らずインターネットは切れてしまいました。
大混乱の中、人々はどのように暮らしていたのでしょう。
まずは、地域の整骨院で働く私の場合、深刻な状況ではない穏やかな日々でした。
ブラックアウトの中の暮らし
2018年9月6日の深夜、スマホの緊急アラートで目を覚ました私たちは、ベッドの上で今まで経験
したことがないような揺れに見舞われます。
災害が身近ではない人のリアル
1分ほど続いた揺れで置き物がいくつか倒れていましたが、元々家具の少ない我が家は被害はほとんどなかったといえます。
寝室の灯りと居間のテレビをつけ、なぜか冷静にガス漏れがないかを確認した後、突然家の中が真っ暗になりテレビも消えてしまいます。
「うそ、停電?そういえばランタンが玄関にあるかも」
週末にキャンプに行くため、キャンプ用品を玄関に集めていたことを思い出し、スマホのライトを頼りにランタン、ラジオを出し何が起きたかを確認することにしました。
そのまま玄関のブレーカーを確認すると、下がってはおらず電線からの電気そのものが途切れてしまったようです。
キャンプメーカーのランタンは思いの外明るく、10畳の居間全てを照らすほどでした。
ラジオからは、地震の震源地やマグニチュード、津波の有無の他に「一部の地域で停電が起こっているため確認中」と報道されています。
「すごい揺れだったから、電柱が倒れたりしたのかもね。ひとまず、明るくなるまで寝る?」
「そうだね」
眠気が覚めない私たちは、錯綜する情報を遮り、明るくなり状況がわかる朝まで再び寝ることにしました。
全てを知った朝
レースのカーテンだけのため、朝の明るさで起きる時間がわかる我が家の寝室。
夜の大地震で何か被害があったのか、開けたままの窓から外で話す人の声で見が覚めました。
窓から少しだけ見下ろせる生活道路では、ご近所の方が立ち止まり話をしています。
電信柱が倒れていたりするかもしれないと思い、急いで居間のベランダへ出てみると、見渡した限りでは大きな被害はないようです。
「電気、まだ止まってるみたい」
起きてきた妻が居間の電気、テレビがつかずインターネットが止まっていることを確かめ、停電が一時的なものではなかったことがわかりました。
3階建てマンションの3階で暮していたためか、水道からは水が出てガスコンロは使うことができます。
給湯器は止まっていてお湯は出ませんが、調理には困ることはないでしょう。
ラジオをつけてみると、北海道内のほぼ全ての地域で停電が起こっており、震源地付近は調査もままならないことが伝えられます。
「俺たちは、被災してしまったらしい」
「どうしょうもない、よね?」
災害に被災した実感がないまま、現実を受け入れることは仕方がないから2人で助け合って暮せば大丈夫と確認し、ひとまずはお互い職場へ行ってみることにしました。
とりあえず仕事に行く日本人
洪水が起こっても水をかき分けて仕事に向かう人、電車が止まると自宅に帰る不便さよりも明日定時通りに出勤できるかを気にする人を見て、違和感を抱いていた私。
いざ、自分が同じ立場になっても、ひとまず職場に行ってしまうものでした。
勤務先は地域に数店舗ある整骨院の1つで、通われる方の治療の他に介護施設への訪問も行う「そこそこの規模」の企業です。
経営に携わらない私は、店舗の状況を確認したあと経営陣へ休業するかを確認しようとしましたが、電話は通じません。
Wi-Fiも止まっていましたが、スマホの仕事用のLINEにはメッセージがあり、各店舗の被害報告と休業の指示が出されていました。
店舗の中は置き物や花瓶、縦長の空気清浄機が倒れていた程度で設備には被害は見当たりません。
倒れたものを片付け、ブレーカーを落とし被害が見当たらないことを報告した私は、今後に備え食料と飲料水を買って帰ることにします。
電気がないと休業は避けられない
職場を午前11:00頃に出た私は、そのまま近場のスーパーを巡って帰りました。
巡ったというのは、最初の1つは臨時休業、次の店舗は長蛇の列があり、普段は行かない徒歩20分程のスーパーを訪れることにしたからです。
スーパーでは、レジが動かないためか袋詰めの食品と飲料水を1袋500円、1人2袋までで販売していました。
一応、食料品は何日かは持ちそうだったので、水道が止まったときのために2袋買って帰ることにします。
先に帰っていた妻の職場も大きな被害はなかったのですが、営業どころではなく停電復旧までは休業するとのことでした。
趣味のキャンプのおかげ
自宅で数日間過ごす覚悟を決めた私たちは、さっそく準備に取りかかります。
そうはいっても、週末にキャンプに行く予定だった我が家には自宅避難の道具は揃っていました。
キャンプメーカーのランタンは10畳の居間に置き、トイレに飾り用の暗めのランタン、小さなライトをキッチンに配置します。
冷蔵庫は動いていませんが、「24時間溶けない」が売りの保冷剤2つが冷凍庫の機能を保ってくれています。
3階の我が家は水道は止まっておらず、今のところガスコンロは使えていました。
9月の気温なら夜にクーラーはいらず、ストーブも使いません。
給湯器が動かずお湯が出ないので、シャワーは水になりそうです。
携帯電話会社のインターネットは、いずれ止まってしまうことが伝えられていますが、ラジオで情報を得ることができます。
モバイルバッテリーを節約しながらなら、ポータブルのカーナビでテレビも見れます。
キャンプ用品は、予期せず防災用品の役割を果たしてくれそうでした。
助けの小さな光
自宅避難の準備を終えると、日が傾きはじめます。
呑気な私たちは、午後の暑さを凌ぐためベランダにキャンプ用のテーブルを置き、椅子を並べてひと休憩することにしました。
明かり1つない街並みは夕焼けを浴びて全てが影になり、コントラストのハッキリとしたリゾート地の写真のように見えます。
遠くに見えるビルと群青色の空との境目に、小さな光が上下左右に行き来しています。
ベランダの真上を飛び越えたヘリコプターが遠くへ向かうと、小さな光の1つに変わります。
10個以上、さらに遠く、さらに広く見渡すと倍以上の光がホタルのように飛び交っています。
暗い町の人を見捨てたりしないよと見回る、自衛隊や消防隊の心強さを感じました。
ブラックアウトと星空
夕暮れから夜になり、本格的に暗くなる前に食事を用意した私たちは、蒸し暑い室内から再び夜風の通るベランダで過ごすことにしました。
ベランダの壁によりかかり、見上げた空には今まで見たことのないほどの星空が広がっていました。
町の明るさと夜空の星
後になって、星の見え方を調べて見たところ、星で光る夜空の明るさは「等級(mag/□”)」という数値で表され、数値が大きいほど星がよく見えるとされています。
数値を左右するのは、ビルや街灯などの街の照明が影響しており、「光害」と呼ばれています。
都市部の明るさは、17等級未満で「星はほとんど見えない」とされています。
人口の多い市街地は、17等級以上〜18等級未満で「星座の形が見えはじめる」ようです。
郊外の田舎町なら、19等級以上〜20等級未満で「天の川が見えはじめる」ほど光害の影響は少ないようです。
21等級以上なら、天の川の形がわかり、図鑑に載っている星団を見ることができるとありました。
ブラックアウト当日の等級を測定した研究者の方はいらっしゃらないようですが、私の記憶と多くの人が残した写真は「世界一の星空ニュージーランド テカポ湖」とそっくりの星空でした。
ブラックアウトの星空は?
全ての灯りが消えた街で見た夜空には、地平線から天空に天の川が流れ、所々色のついた雲があり、オレンジや紫と川の場所によって違う色あいを見せてくれます。
天の川から離れた場所に、青く光る星の塊のようなものもいくつも浮かんでいます。
そして、天の川と星の塊の隙間全てを星が埋めて星空全体が地上を包んでいるような光景でした。
星空は突然現れたのではなく、街の灯りで隠れていただけで、いつもそこで輝いていたんですね。
ブラックアウトと星空のまとめ
2018年9月6日から3日間、全ての電気が使えなくなるブラックアウトを経験した私。
停電には、電源、燃料、食料、飲料水の備えが必要で防災を本格的に考えるキッカケになりました。
ただ、愛用のキャンプ用品が十分に防災用品の役割を果たしてくれることも実証できたのは貴重な経験です。
キャンプ用品=防災用品といってもいいのかもしれません。
被害が大きな地域の方には不謹慎ですが、ブラックアウトで見えた星空は、私たちの今までの自然への印象を変えてしまうほど大きな影響を受けたのも事実です。
万が一は、起こるかもしれないと考えて、防災の備えをしておきたいものですね。