スペイン語で赤道を意味する南米エクアドル国内には、文化遺産が3件と自然遺産が2件が世界遺産として登録されています。
今回は、3件の文化遺産の中でも最初に登録された「キトの市街」の歴史と成り立ちを掘り下げてみました。
前回の世界遺産記事は ポーランドクラクフ歴史地区深掘り!世界遺産検定で学ぶ歴史地区の秘密 でした。
キトの秘宝:エクアドルの首都キトにある歴史的市街地の特徴
エクアドルの心、キトの市街地へようこそ!この地は、その豊かな文化遺産と息をのむような植民地時代の建築美で知られています。
今日は、楽しみながらキトの歴史を学べる世界遺産クイズを通じて、この古い街の隠された魅力を一緒に探っていきましょう。
1. キトの市街地とは?
キトの旧市街は、色鮮やかな建物と石畳の通りが魅力的な場所です。
世界遺産にも登録されているこの地区は、エクアドルの首都の歴史的中心であり、訪れる人々をその時代背景と美しい景観で魅了します。
キトの旧市街を歩けば、まるで時間が止まったかのような感覚に包まれることでしょう。
中世の世界観を残すキトの市街は、植民地支配という負の歴史も語り継いでいます。
2. キトの歴史的背景
キトは1534年にスペイン人によって創設されましたが、その地にはそれ以前から先住民文化が栄えていました。
独立戦争の舞台ともなったこの街は、多くの歴史的な出来事を経て、今日に至るまで多文化が融合する場となっています。歴史の重要な層をこの街で感じることができます。
3. 見どころとその美学
サンフランシスコ教会やラ・コンパニア・デ・ヘスス教会など、壮麗な教会が市街地に点在します。
これらの教会はバロック様式を主体に、ゴシックやモロッコの影響も受けており、その繊細な装飾は訪れる人々を圧倒します。
また、美術愛好家には国立美術館で開催される芸術展も見逃せません。
キトの市街の基本情報
登録区分)文化遺産
登録年)1978年
登録基準)(2),(4)
登録国)エクアドル
登録地域)南メリカ
エクアドルの首都キトの旧市街は、中世の建築物と街並みの保存状態の良さが高く評価され、文化遺産として登録されている歴史地区です。
「アメリカ大陸の修道院」の異名を持つ都市キトは、16世紀には南米大陸におけるキリスト教布教の拠点でもありました。
そのため旧市街には、中世の世界観そのままの聖堂・修道院などが数多く残っています。
中でも、サン・フランシスコ聖堂・修道院、独立広場と大聖堂、サント・ドミンゴ聖堂とドミニコ会修道院、ラ・メルセー聖堂、ラ・コンパーニア聖堂、サン・アグスティン聖堂は1600年代から1700年代にかけて当時の宗主国やキリスト教団体によって築かれたままの姿を残しています。
赤道直下でも独特のキトの地理
エクアドルの中央ピチンチャ県にある首都キトは、南米有数の大都市として地域の中心的な役割を持つ街です。
キトの面積は372.39 km2で、日本国内では香川県高松市(375.4km2)や山形県山形市 (381.3km2)とほぼ同じ広さです。
人口は1,978,376人と北海道札幌市や福岡県福岡市と並ぶ多さで、人口密度の高い都市でもあります。
赤道が横断するエクアドルにありながら、8月の平均気温は14℃と涼しく、1月の平均気温も14℃と一年を通じて涼しい気候です。
理由は、キトが標高2850メートルとかなりの高地にあるためで、世界で8番目に標高の高い都市とされています。
日本国内で標高の高い上位2つの長野県川上村(1185m)、群馬県草津町(1180m)の倍以上の高さにあり、日本アルプスの頂上に政令指定都市があることは、なかなか想像しづらいことです。
キトの建設と植民地支配の歴史
キトの成り立ちには、1438年から南米で拡大し、1533年にスペインによって征服されたインカ帝国が関わっているとされています。
15世紀末には、キトの住民はインカ帝国の支配下に加わり、首都のクスコからキトまではインカ道が通されたとされています。
その後、帝国内部の内線とスペイン軍の侵攻を受け、当時のキト付近に駐屯したスペイン軍によって街が整備されます。
残念なことに、文字で記録を残す文化がなかったインカ帝国側には事実を裏付ける資料は残っておらず、元々のキトの都市は撤退するインカ帝国軍の手によって破壊されたとされています。
現在のキトの建設は1534年に始まり、1543年に正式にスペインの植民地支配が開始されると、独立広場を中心として格子状に広がる都市が整備され、「サン・フランシスコ・デ・キト」と名づけられます。
元々暮らしていた現地の住民はキリスト教へ改宗させられ、都市の整備に動員されたことが明らかになっています。
その後300年間、キトはスペインの植民地として支配されることとなります。
キトの独立
長らく植民地として支配を受けたキトは、1809年8月10日にスペインからの独立を宣言します。
ですが、独立は認められず1810年にリマから派遣されたスペイン軍により独立運動は鎮圧されてしまいました。
独立運動の成果が実ったのは、1822年のことです。
南米ボリビアの英雄アントニオ・ホセ・デ・スクレ・イ・アルカラが独立運動に加わり、スペイン軍に勝利したことで、大コロンビアの一部としてキトは独立します。
さらに1830年には、大コロンビアから独立したエクアドルの首都として現在の国際都市にまで発展を続けることになります。
世界遺産に登録されたキトの名所
キトの市街として世界遺産に登録された建築物には、サン・フランシスコ聖堂・修道院、独立広場と大聖堂、サント・ドミンゴ聖堂とドミニコ会修道院、ラ・メルセー聖堂、ラ・コンパーニア聖堂、サン・アグスティン聖堂の6つが有名です。
中でもサン・フランシスコ聖堂と修道院は、1535年に建設された南アメリカで最古のカトリック教会です。
教育機関として、キリスト教の神学と美術の技術を南米に広めたことから、南米でのキリスト教建造物は「キト派」と呼ばれる美術の文化を生み出します。
また、独立広場と大聖堂にはキトの独立に貢献した、アントニオ・ホセ・デ・スクレの棺が安置されています。
植民地時代で最後に建築されたラ・メルセー聖堂には、キトで最古とされる1575年製作の聖母マリア像が安置されています。
世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題
過去4年間の出題はありません。よってオリジナル問題をchatGPTで作成してみました。
質問 1: キトの歴史地区で最も古い教会の名前は何ですか?
1.国民投票大聖堂
2.サンフランシスコ教会
3.サグラリオ教会
4.イエスの会社の教会
質問 2: キトの歴史地区がユネスコの世界遺産に登録されたのは何年ですか?
1.1978年
2.1987年
3.1992年
4.2000年
質問 3: キトのラ・コンパニャ・デ・ヘスス教会で最も注目に値するユニークな建築上の特徴は何ですか?
1.ムーア様式の天井
2.地元の火山石を使用
3.金箔を使った内装
4.ゴシック様式の窓
キト市街地の保存と未来
この地域の保存活動は国内外からの支援を受けながら進められています。
これからもキトの市街地がその美しさを保ち続けるために、さまざまなプロジェクトが計画されています。
地元コミュニティと訪問者が協力し、この歴史的な場所を未来に向けて守り続けるための努力が重要です。
キト訪問のヒント
キトを訪れる際は、高地の気候に備えて適切な服装を準備することが大切です。
日中は暖かく感じられることもありますが、朝晩は冷え込むため、重ね着が可能な服装がおすすめです。
また、キトの市街地は歩きやすい靴で探索するのが最適です。
石畳の道や坂が多いので、歩きやすいフラットシューズが理想的です。
キトの市街地は、小さなカフェやレストランが多く、地元の料理を楽しむチャンスも豊富です。
特に、エクアドルの伝統的な「セビーチェ」や「ロコロ」といった料理は必試です。また、市街地の中心部には数多くのアートギャラリーや手工芸品のショップがあり、エクアドル独特の工芸品を手に入れることができます。
最後に、キト市街地の探索は早朝がおすすめです。この時間は観光客が少なく、地元の人々の生活に触れることができ、より静かで落ち着いた雰囲気の中で街歩きを楽しむことができます。
キトの市街のまとめ
キトの市街地は、その豊かな歴史と文化、美しい景観で訪れる人々を魅了し続けています。この記事で紹介した世界遺産クイズを通じて、キトのさらなる深い魅力を発見していただければ幸いです。
エクアドルの首都キトの古い市街地を訪れることは、ただの旅行以上の価値があることを実感できるはずです。さあ、歴史的な街並みを歩き、そのすべてを自分の目で確かめてみてください。
南米エクアドルの文化遺産、キトの市街のお話はいかがでしたか?
歴史を語り継ぐ建築物、現代とは異なる時間が残る風景は美しく、何ともいえない感覚を与えてくれます。
一方で、歴史は人間の残酷な一面も語り継ぐことがあります。
海外の世界遺産を見にする際には、どのような成り立ちで、その風景が生まれたのか、知っておきたいものですよね。