東京都には、近代建築が評価され登録された文化遺産が登録されています。
東京都台東区の上野公園に1959年開館した国立西洋美術館、都民の方には学生時代の芸術鑑賞で訪れる機会があるなじみのある美術館ではないでしょうか?
前回の記事は 世界遺産の探求:明治日本の産業革命遺産と製鉄、製鋼、造船、石炭産業の歴史でした。
こちらもご覧いただくとよく理解できると思います。
ル・コルビュジエの建築作品とは‐世界遺産に登録された近代建築運動の特徴と評価
ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献の基本情報
登録区分)文化遺産
登録年)2016年
登録基準)(1), (2), (6)
国内の登録順位)No.20
文学遺産としては、国立西洋美術館や周辺の景観だけが登録されているわけではなく、海外の建築物とともに登録されています。
国立西洋美術館は、登録名に「ル・コルビュジエの建築作品」とあるように、スイス出身の建築家ル・コルビュジエの設計した世界各地の建築物のひとつとされています。
世界中に点在する初の世界遺産として日本の他には、ドイツ・ベルギー・フランス・スイス・アルゼンチン・インドの建築物が登録されています。
建築家ル・コルビュジエが世界へ残したもの
近代建築の巨匠と呼ばれたル・コルビュジエ。
20世紀初頭に活躍したル・コルビュジエは、1887年にスイスで生まれ、フランスで活動した建築家です。
当時の西洋の建築物は石材やレンガを組み立て、伝統的な彫刻で外壁を飾る建築方法が主流でした。
ル・コルビュジエは、伝統を見直し、デザインと実用性を兼ねたシンプルな鉄筋コンクリート造りの建築方法を広め、モダニズム建築と呼ばれる新しい価値観の建築物を数多く建設します。
国立西洋美術館
国立西洋美術館は、第二次世界大戦前に実業家の松方幸次郎が収集したヨーロッパの美術品を展示するために建設されます。
戦後の財政難と国際的な立場が影響し、建設までは厳しい意見が行き交っていたとされています。
1955年3月に建築設計者に選ばれたル・コルビュジエは、日本の伝統的建築物が残る京都府と奈良県を視察し、日本文化に合った構想をまとめ、1959年6月10日に開館することになります。
海外で登録されているル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献の構成資産
日本の国立西洋美術館の他には、ドイツのヴァイセンホーフ・ジードルングの住宅、ベルギーのギエット邸、フランスのロンシャンの礼拝堂を始めとしたいくつもの建築物、故郷スイスのレマン湖畔の小さな家、アルゼンチンのクルチェット邸、インドのチャンディーガルが「ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献」として登録されています。
世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題
Q1. 「国立西洋美術館」に関する以下の文中の語句で、正しいものはどれでしょうか。
国立西洋美術館は、「(1.ル・コルビュジエ)の建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献」の構成資産のひとつで、(2.大阪府)にあります。他にもフランス共和国や(3.中華人民共和国)などの建築遺産が登録されています。こうした複数の国にまたがる遺産を各国共同でひとつの世界遺産として登録したものを(4.スペシャル・グローバル・サイト)と呼びます。
(引用元:p66,2018年3月世界遺産検定4級)
1. ル・コルビュジエ
2. 大阪府
3. 中華人民共和国
4. スペシャル・グローバル・サイト
Q2.「国立西洋美術館」に関する以下の文中の空欄に当てはまる語句として、正しいものはどれでしょうか。
「国立西洋美術館」を含む「ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献」は、複数の国にまたがる遺産を、各国共同でひとつの世界遺産として登録したものです。このような遺産を( )と呼びます。
(引用元:p81,2018年7月世界遺産検定4級)
1. トランスバウンダリー・サイト
2. ユニバーサル・サイト
3. ミクスチャー・サイト
4. マルチブル・サイト
Q3.「ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献」は、複数の国に点在する建造物で構成されています。この遺産に含まれる日本の建造物は何でしょうか。
(引用元:p94,2018年9月世界遺産検定4級)
1. 国立西洋美術館
2. 東京駅
3. 国立競技場
4. 国立国会図書館
Q4.「国立西洋美術館」の説明として、正しくないものはどれでしょうか。
(引用元:p103,2018年12月世界遺産検定4級)
1. 他の国の遺産と合わせて登録されている
2. 第二次世界大戦後に築かれた
3. リチャード・アークライトが設計した
4. 東京都にある
まとめ
東京都民の方には身近な国立西洋美術館が登録されている世界遺産、「ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献」のお話はいかがでしたか?
世界遺産検定の過去問は、正解できましたでしょうか?
掲載しております2018年までの世界遺産検定では、海外で登録されている世界遺産を回答する問題は出題されていませんでした。
複数の国にまたがる世界遺産は、海外ではいくつか登録されているため、トランスバウンダリー・サイトという用語は、国立西洋美術館と合わせて覚えておきたいですよね。
次回の記事は 世界遺産検定に役立つシリーズ・「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群 です!お楽しみに!