奈良時代に栄えた、日本古代史の栄光を今に伝える、世界遺産古都奈良の文化財。
大仏殿や春日大社など、多くの貴重な史跡が点在し、神々しい美しさを放つものばかりです。
その歴史的な価値や文化的な背景からも、多くの人に愛され続けています。
日本で9番目に登録された文化遺産でもあり、令和へと続く日本の芸術を語る上で欠かせない世界遺産です。
この記事では、そんな古都奈良の文化財の魅力について、詳しくご紹介していきます。
今回の世界遺産は、仏像や寺院などの仏教建築で知られている「古都奈良の文化財」です。
前回の記事は 世界遺産古都京都は日本の心宿る文化財の宝庫神々しい美と古き良き日本でした。
こちらもご覧いただくとよく理解できると思います。
日本の心と文化が息づく古都奈良の文化財
登録区分)文化遺産
登録年)1998年
登録基準)(2),(3),(4),(6)
国内の登録順位)No.9
「古都奈良の文化財」には6つの寺社仏閣、史跡と天然記念物がそれぞれ1つずつ、合計8が文化遺産として登録されています。
寺社仏閣には、国宝の正倉院のある東大寺が有名です。
日本国内で初めて世界遺産が登録された1993年、兵庫県の姫路城と並んで日本初の世界遺産として登録されました。
古都奈良の文化財の秘密
奈良県の世界遺産は、10個の選考基準の中でも、地域で暮らす人の文化に関する、「2.ある期間、文化圏で人類の価値の重要な交流を示す」の項目で高い評価を受けています。
登録基準の背景には、奈良県の歴史と当時の文化、世界情勢が深く関わっています。
日本の首都があった奈良の歴史
令和の現在、日本の首都は東京都です。
海外では、アメリカのワシントン、イギリスのロンドン、ドイツのベルリンと小学校の社会科で習う有名な街です。
首都の定義はいくつか解釈があり、「国の法律で定めれれている」「中央政府が存在する」「国家元首が居住する」と概ね3つが主流です。
令和の日本の場合、「中央政府が存在する」「国家元首が居住する」の2つが当てはまり首都機能のある東京都が首都とされていますが、「国の法律で定めれれている」わけではありません。
かつて、奈良県にも「中央政府が存在する」「国家元首が居住する」の2つが当てはまり、奈良県が首都とされてきた時代がありました。
710年から794年にかけての奈良時代のことです。
令和の現代まで続く皇室の祖先とされるヤマト王権は、古墳時代に奈良県一帯で地位を確立し、西日本から中部地方にかけて勢力を拡大します。
聖徳太子によって、氏姓制度が制定され仏教文化を広まり、中世日本の礎が築かれた飛鳥時代を経て710年には、平城京に都が移されます。
奈良時代と呼ばれる奈良県が日本の中心になった時代の始まりです。
平城京は、当時の中国の首都 長安城を参考にした国際的な規格の都市でした。
平城京への首都移転に携わった歴史上の人物は元明天皇、平城京から次の移転に携わっわ人物は桓武天皇です。
平城京の次は京都府の平安京と思われがちですが、784年に京都府の長岡市に一時的に移転しています。
また、奈良県以降は歴史的な出来事は文書に残されることが増え、奈良県の歴史も『日本書紀』に確かな記録として残されています。
天平文化と古都奈良の文化財の関係
平城京に国際的な首都が築かれたことで、奈良時代には天平文化(てんぴょう)が花開いたとされています。
天平文化は、登場交流のあった中国から取り入れた文化を元に、日本独自の価値観が芽生えた国際色豊かな文化です。
特に芸術作品の製作が盛んになり、大規模な鋳造で制作された東大寺盧舎那仏像のほか、乾漆像や塑像の技法が取り入れられ、日本の代表的な仏教建築が生まれ始めます。
また、万葉集が編集された時代でもあり、出来事や文化を書き残しておく習慣が根付き始めていました。
天平文化に関わる重要人物は、聖武天皇です。
聖武天皇は仏教を広く普及させ、国民の不安を和らげる願いを込めた東大寺盧舎那仏像、いわゆる東大寺の大仏を建立しました。
奈良時代の天平文化は、海外の流行や先端技術を取り入れ、独自の技術に昇華される日本の文化の始まりといってもいいのかもしれませんね。
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世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題
Q1.「古都奈良の文化財」に関し、平城京が都であった時代に栄えた国際色豊かな文化は何でしょうか?
1.元禄文化
2.室町文化
3.天平文化
4.弥生文化
引用元:2018年3月,p67,世界遺産検定4級
Q2.「古都奈良の文化財」に関し、国家鎮護のために奈良に東大寺をおいた(A)と、その人物が建立した仏像(B)の組み合わせとして正しいものはどれでしょうか?
1.聖武天皇-盧舎那仏
2.聖武天皇-五百羅漢像
3.推古天皇-盧舎那仏
4.推古天皇-五百羅漢像
引用元:2018年7月,p77,世界遺産検定4級
Q3.「古都奈良の文化財」に含まれない遺産はどれでしょうか?
1.慈照寺(銀閣寺)
2.興福寺
3.東大寺
4.薬師寺
引用元:2018年9月,p90,世界遺産検定4級
Q4.「古都奈良の文化財」に関し、奈良に都が置かれていた時代の説明として正しいものはどれでしょうか?
1.聖武天皇が仏教を弾圧した
2.応仁の乱が起こった
3.1000年間にわたり都として日本の文化の中心であり続けた
4.国際色豊かな天平文化が花開いた
引用元:2018年12月,p101,世界遺産検定4級
まとめ
「古都奈良の文化財」のお話はいかがでしたか?
過去問は、正解できましたでしょうか?
「なんとなく平城京があった」ことはご存知でも、人物を覚えておくのは難しいですよね。
歴史的な背景で世界遺産を学ばれる際には、「いつ(時代)」「どこで(地域)」「誰が(人物)」「何を(出来事)」「どうなった(影響)」をバランス良く覚えておくことが、解答に結びつく秘訣てはないでしょうか?
ちなみに、ユネスコ世界遺産では2019年時点で唯一地域内に鉄道が走る珍しさは、歴史的な文化とともに発展した奈良県ならではの特徴ですよね。
次回の記事は 世界遺産日光東照宮は日本の誇りを体感する象徴的建築物と社寺の魅力です!お楽しみに!