小笠原諸島が世界遺産に登録された理由とは?自然の特徴と生物多様性

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2011年に世界遺産に登録された小笠原諸島は、世界的にも珍しい首都圏に存在する自然遺産です。
自然番組で特集が組まれることも多い小笠原諸島の生態系の秘密を、世界遺産検定の問題に照らし合わせてまとめさせていただきますね。

前回の記事は 一度は訪れたい知床は世界自然遺産の宝庫と地理と気候が生み出す生態系でした。

 

世界遺産に登録された小笠原諸島の魅力

世界遺産の基本情報

英語表記)Ogasawara Islands
登録区分)自然遺産
登録年)2011年
登録基準)(9)
国内の登録順位)No.15

 

小笠原諸島とはどのような場所なのか?

東京都心から約1000km南に位置する小笠原諸島は、都道府県では東京都の一部とされています。
大小30あまりの群島の中でも、住人の方が暮らしているのは父島・母島の2島です。
本州と小笠原諸島を結ぶ交通手段はフェリーのみで、住民の方がかねてから希望されている飛行場は、現在建設を検討中という段階です。

小笠原諸島

小笠原諸島の自然の特徴と世界遺産登録の理由

東洋のガラパゴスと呼ばれ、生き物の独自の進化の名残が現在まで続いている点は、世界遺産の10の審査基準の中でも「9.陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において重要な生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの」とされ、2011年に自然遺産として登録されました。

小笠原諸島が東洋のガラパゴスと呼ばれるわけは?

小笠原諸島は、東洋のガラパゴスと呼ばれ独自の生態系が見られる地域です。
他の地域にはない生き物の進化は、どのような理由があるのでしょうか?

豊かな生態系のみなもとは?小笠原諸島の生物多様性

小笠原諸島は、大まかに父島と母島のある「小笠原群島」、「西之島」、硫黄島のある「火山列島
(硫黄列島)」、離れた位置にある「南鳥島、沖ノ鳥島」の4つのエリアに分けられています。

世界的な気候区分では、「小笠原群島」と「西之島」は亜熱帯気候に当たり、さらに南側の「火山
列島(硫黄列島)」と「南鳥島、沖ノ鳥島」のエリアは熱帯気候に分類されます。

どちらの地域も海洋性気候でもあり、天候は年間を通じて夏と冬の気温差は小さく暖かい1年を過ごせる地域は、春秋の前線の南側にあるため「梅雨はない」とされています。

小笠原諸島のように、亜熱帯や熱帯の島では斜面に沿って上昇気流が発生し常に雲や霧に覆われる雲霧帯が生まれます。
標高差が小さく熱帯気候でも北側に位置する小笠原諸島では、父島中央部の一部、母島の中央山地だけが雲霧帯に覆われます。

1年を通じて暖かく、湿度の低い乾燥した一帯と一部の高温多湿の環境は、狭い地域の中で独特の植物の生態系が育まれます。

東洋のガラパゴス

小笠原諸島には、日本列島から離れており、ユーラシア大陸と一度も地続きになったことがない島という、もう1つの特徴もあります。
また、生き物の広がりを示す「生物地理区」では、動植物の生態系はアジアではなくオーストラリアを含むオセアニア区に含まれるとされています。

小笠原諸島の豊かな生態系

東洋のガラパゴスと呼ばれる独自の生態系の中で、カミキリムシなどの昆虫類、フナムシなどの甲殻類、カタツムリの仲間の陸生貝類は固有種が多いとされています。

中でも、ツブのような縦巻きのキセルガイモドキ科、よく見かけるカタツムリの仲間のニッポンマイマイ科アナカタマイマイやカタマイマイなどは小笠原諸島でしか生息しておらず、陸産貝類の95%以上が固有種とされています。

一方で、人の活動とともに侵入したセイヨウミツバチや本州のアリなど外来種によって生態系が変化していることも深刻な問題とされています。

 

世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題

Q1.「小笠原諸島」で確認されているうちの約95%が固有種であると考えられる、カタツムリの仲間は何でしょうか。

(引用元:p69,2018年3月世界遺産検定4級)

1. 陸産貝類
2.爬虫類
3. 昆虫類
4. 甲殻類

答え:(1)陸産貝類

Q2.「小笠原諸島」の説明として、正しいものはどれでしょうか。

(引用元:p78,2018年7月世界遺産検定4級)

1. 貴重な仏教寺院が残ることから、複合遺産に登録された。
2. この地の陸産貝類の約95%が固有種であると考えられる。
3. かつて日本列島と地続きであったため、固有種が少ない。
4. 外来種がまったく存在しないことが評価された。

答え:(2)この地の陸産貝類の約95%が固有種であると考えられる。

Q3.「小笠原諸島」に関する次の文中の語句で、正しくないものはどれでしょうか?

(引用元:p92,2018年9月世界遺産検定4級)

「小笠原諸島」は世界でも珍しい、(1.首都に属する自然遺産)です。カタツムリの仲間である(2.陸産貝類)は、この地で確認されている約95%が固有種であると考えられます。起源を同じくする
種が、環境に順応して様々に分化する(3.垂直分布)の典型です。現在、「小笠原諸島」では(4.
外来種)によって固有の生態系が脅かされることが問題になっています。

1.首都に属する自然遺産
2.陸産貝類
3.垂直分布
4.外来種

答え:(3)垂直分布

Q4.「小笠原諸島」で見ることのできる生物は何でしょうか。

(引用元:p102,2018年12月世界遺産検定4級)

1. ミナミバンドウイルカ
2. ヒグマ
3. ゴマフアザラシ
4. ニホンカモシカ

答え:(1)ミナミバンドウイルカ

小笠原諸島のまとめ

東洋のガラパゴス、小笠原諸島のお話はいかがでしたか?
世界遺産検定の過去問は、正解できましたでしょうか?
小笠原諸島は、世界遺産の中でも珍しい首都圏に存在する自然遺産です。
東京都心から約1000km離れ、亜熱帯と熱帯気候の気候に当たる小笠原諸島では、他の地域には住んでいない固有種の動植物が数多く暮らしています。
首都圏が誇る豊かな生態系、いつまでも保ち続けてゆきたいものですよね。

次回の記事は  石見銀山とは?日本の世界遺産に登録された銀山の歴史と魅力に迫るです!お楽しみに!