1978年に世界遺産に登録されたイエローストーン国立公園は、アメリカ合衆国の壮大な自然を象徴する国立公園です。
今回は、イエローストーン国立公園にまつわるお話とともに、世界遺産が生まれるきっかけになった出来事も掘り下げて紹介させていただきます。
前回の記事は世界遺産秘境ガラパゴス諸島の魅力と見どころを検定試験を交えて解説!
イエローストーン国立公園の自然と野生生物の驚異
イエローストーン国立公園は、その壮大な自然の景観と多様な野生生物によって、世界中から訪れる旅行者を魅了し続けています。
アメリカ初の国立公園としての地位を確立して以来、イエローストーンは地球上で最も特別な自然保護区域の一つと見なされてきました。
火山活動によって形成された独特の地質学的特徴、温泉、間欠泉、そして広大な野原は、種々の生態系を支える基盤となっています。
この驚異の地は、バイソン、オオカミ、グリズリーといった野生動物の保護区としても知られており、自然と野生生物の驚異を体験するにはまさに理想的な場所です。
イエローストーン国立公園の基本情報
登録区分)自然遺産
登録年)1978年
登録基準)(7), (8), (9), (10)
国内の登録順位)No.2
登録国)アメリカ合衆国
アメリカ合衆国のアイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州に広がる広大なイエローストーン国立公園。
自然遺産に登録されている8980km2の中には、川や渓谷、草原まで広がり、北アメリカ大陸の自然の規模を物語っています。
1978年、世界で初めての世界遺産「ガラパゴス諸島」とともに、自然遺産の登録基準の中でも「(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの」として高い評価を受けて登録されることになります。
イエローストーン国立公園と世界遺産条約のきっかけ
1978年は、イエローストーン国立公園をはじめ世界遺産にとっては誕生の年にあたります。
イエローストーン国立公園とは?
イエローストーン国立公園は、アメリカ合衆国のある北アメリカ大陸最大の火山地帯です。
一帯は、ガイザー・カントリー、マンモス・カントリー、ルーズベルト・カントリー、キャニオン・カントリー、レイク・カントリーの5つの地域に分けられています。
それぞれの地域を象徴する名所があり、ガイザー・カントリーではイエローストーンのシンボルになっている間欠泉が、マンモス・カントリーでは野性的な風景がアメリカらしいテラスマウンテンが知られています。
ルーズベルト・カントリーでは、タワー滝と呼ばれる大規模な滝、キャニオン・カントリーでは、イエローストーン大峡谷が最も規模の大きな渓谷です。
レイク・カントリーは名前の通り、いくつもの湖が存在しています。
広大な自然の風景は、観光客に人気なのはもちろん、SF映画『スター・トレック』『スター・ウォーズ』では大自然の星としてロケ地に選ばれています。
自然遺産の登録で高く評価された「地上に残された数少ない手付かずの」温帯生態系の一とされ、多くの植物とともにグリズリーやオオカミ、バッファローやアメリカエルクの大群が行き交う地球離れした風景です。
世界遺産が生まれるきっかけ
イエローストーン国立公園が世界遺産に登録される1978年は、世界遺産条約が生まれた年でもあります。
世界遺産の生まれた背景は、イエローストーン国立公園の登録から遡ること1960年代、海を越えたアフリカ大陸にありました。
エジプトを流れるナイル川は、豊かな水資源をもたらすとともに長年水害に悩まされる地域でもありました。
エジプト政府とアフリカに影響力を持つ国々は、アスワン・ロウ・ダムを建設し、水害対策と発電を兼ねた大規模施設の建設を進めていました。
ダムの建設予定地には、ヌビア遺跡のアブ・シンベル神殿など古代エジプトの遺跡群があり、水没の危機に直面します。
国際社会からの批判の声が上がり、最終的にユネスコが支援する形でアブ・シンベル神殿をはじめ10個ほどの遺跡が水面上へと移設されることになります。
この活動が、歴史的な遺産や自然を残すための活動に広がり、後の世界遺産条約へとつながります。
イエローストーンの地質学:火山活動の証し
イエローストーン国立公園は、世界最大級の火山性カルデラ上に位置しています。
この地域の地質学は、数百万年にわたる火山活動の結果として形成されました。
公園内には、60を超える種類の間欠泉や300以上の温泉があり、地球上で最も活発な地熱地帯の一つとされています。
特に有名なオールドフェイスフル間欠泉は、その予測可能な噴火で知られ、世界中から多くの訪問者を引き寄せています。
このような地熱現象は、イエローストーンの地下深くに潜む火山の力を物語っており、公園の景観と生態系に大きな影響を与えています。
世界遺産リストへの道:イエローストーンの影響力
イエローストーン国立公園が世界遺産に登録されたのは1978年のことで、自然美と地質学的な重要性が高く評価されました。
この地域は、地球上で最も保存状態が良い温帯地帯の生態系の一つと見なされています。
公園が世界遺産リストに加えられたことは、国際社会における自然保護の重要性を象徴する出来事となり、世界中の他の自然保護区域の保護にも影響を与えました。
イエローストーンの世界遺産登録は、自然保護と持続可能な観光のモデルとして、他の国立公園や自然保護区域に対する重要な指標となっています。
イエローストーン国立公園の保護と管理は、その独特の生態系と自然
景観を未来世代に引き継ぐための重要な取り組みです。
公園内では、野生動物の生息地を保護し、侵入種の管理、森林火災の自然な役割の維持、そして温室効果ガス排出の削減を目指す多岐にわたるプロジェクトが展開されています。
また、公園の訪問者に対して、自然を尊重し、影響を最小限に抑える方法を教育するプログラムも積極的に実施されています。
これらの取り組みは、イエローストーンの壮大な自然と多様な野生生物を守るために不可欠であり、公園の持続可能な未来を確保するためには、地域社会、訪問者、そして世界中の人々の支援が必要です。
イエローストーンの未来は、私たち一人ひとりの意識と行動にかかっています。
世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題
Q1.文中の空欄に当てはまる、アメリカ合衆国の世界遺産はどれでしょうか?
(引用元:p64,2018年3月世界遺産検定4級)
世界遺産とは、1972年にユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき顕著な普遍的価値が認められた遺産のことです。1960年にナイル川で始まったアスワン・ハイ・ダムの建設が大きく関係しています。1978年にアメリカ合衆国の( )など12件が世界で最初の世界遺産として登録されました。
1.キリマンジャロ国立公園
2.イエローストーン国立公園
3.マチュ・ピチュ
4.ナスカとバルバの地上絵
Q2.文中の空欄に当てはまる、国は何でしょうか?
(引用元:p75,2018年7/9/12月世界遺産検定4級)
世界遺産とは、世界遺産リストに記載された顕著な普遍的価値を持つ建造物や遺跡、自然などのことです。世界遺産条約の誕生は、古代エジプト文明の遺産でもあるアブ・シンベル神殿などの救済キャンペーンをユネスコが展開したことが大きく関係しています。1978年にはイエローストーン国立公園など、12件が世界で最初の世界遺産として登録されました。
1.アメリカ合衆国
2.ニュージーランド
3.イタリア共和国
4.ブラジル連邦共和国
イエローストーン国立公園のまとめ
イエローストーン国立公園のお話はいかがでしたか?
今回の世界遺産検定の過去問は、解きやすかったかと思います。
イエローストーン国立公園のように世界遺産の背景に関係する内容は、他の出来事、同じ時代の世界遺産とともに覚えておくと、世界遺産検定の得点につながりますよ。