夏にまつわる天気ことわざ
春夏秋冬の中でも、もっとも気温が上がり爽快なシーズンが夏。日本には夏にまつわる天気ことわざも、たくさんあります。

寒い冬ですが、チリーン。風鈴をかざってみました。今回は私の大好きな季節、夏のご紹介です!

気が早いなー。夏まで待てないってところかな。
夏に風鈴の音を聞くと「夏がきたな~」と思うよね。夏のことわざって、実はとても面白いものがいっぱいあるみたいだよ。
夏の入道雲は晴れ
モクモクとした大きな入道雲があらわれると、お天気になるということわざです。とは言え入道雲が出ると、大雨が降る―という言い伝えも聞いたことがあるはず。このことわざは本当なのでしょうか?
入道雲の本当の名前は『雄大積雲』といいます。雄大積雲がさらに大きく進化すると、みなさんご存じの「積乱雲」になります。積乱雲がいくつもつながると雷や竜巻なども引き起こし、災害をもたらすような豪雨を引き起こす恐れもあるためとても危険です。
入道雲が青い空に浮かんでいると、海にヨットが浮かんでいるように壮大な気持ちになりますが、さらに大きな積乱雲に変化したら少し危ないサイン。覚えておくといい豆知識です。

入道雲(北海道)
梅雨に降らぬと、土用に降る
土用の丑の日においしいウナギを食べるのは、ささやかな夏のお楽しみのひとつですよね。夏の土用はだいたい7月の後半から、8月の頭にかけてあります。2021年度は7月19日の日が、土用の丑の日にあたります。
梅雨に降らぬと土用に降るというのはお天気のジンクスで、まとまった雨が梅雨のシーズンに降らないと、夏の土用にドカッと大雨が降るという意味があります。
じめじめとした梅雨の季節は嫌なものですが、降るべき時期に雨が降らないと、そのあと天気のバランスが崩れてしまい災害をもたらすような大雨につながることもあります。人生もお天気も「ちょうどいいあんばい」が必要なのですね。

白山国立公園青い空と碧い池
夕立は三日
夏の午後から夕方にかけて、ザーと勢いよく降るのが夕立です。さっきまで晴れていたのに、急に傘が必要な天気にさま変わりするので、びっくりさせられることもあります。
そんな夕立は、ひとたび起こると3日間は続くよ―と述べたのが「夕立は三日」というお天気ことわざです。たしかに夕立のような大雨は、ピンポイントではなく、ある期間に集中して起こることが多いかもしれませんね。
ちなみに夕立が起こるメカニズムは、どんなものがあるのでしょうか?夏のギラギラの太陽が照り付けると、地面近くの湿った空気が少しずつ温まり空にのぼっていきます。湿った空気は空の中で積乱雲などの雨を降らせる雲に変化し、ザーという大雨を降らせるようになります。
急激に変化することも多い、夏のお天気。朝とてもよく晴れていたとしても、夕方にはひと雨降ることもあります。「夕立が1日、2日と続いていたら、今日も降るかもしれない」と心得て雨具を準備しておくことも大切です。

雨雲と青空
夏の雨は馬の背を分ける
夏の雨の特徴を述べているのが「夏の雨は馬の背を分ける」です。馬の背中で分けられるくらい、夏の雨が小さなエリアで降るという例えになります。
馬の背中というのは少しオーバーな気がしますが、たとえば電車に乗っていて窓の外が大雨だったとき、お隣の街に着くころには雨が降った気配すら感じられない…。そんなことも日常生活では良くあります。
南高北低の夏の気圧配置になると、南から暖かく湿った風が入りやすくなり、局地的な大雨が降りやすくなります。夏にアウトドアを楽しむ場合には「夏のお天気は変わりやすいこと」を知っておくとより楽しく過ごせるかもしれません。

海とテント
雷なれば梅雨あける
気象予報士さんの間では「雷がよく鳴るようになると、梅雨明けまでのカウントダウンが始まる」と言われています。ちょっと面白いジンクスですが、実はこれは理にかなっているところもあるのです。
梅雨の時期は、梅雨前線の働きによって日本列島の各地に雨が降ります。梅雨前線はオホーツク高気圧と太平洋高気圧をわける、いわば「境界線」のような役割を果たしています。
梅雨の最初の頃は、オホーツク高気圧が優位に。反対に梅雨が終わりの頃になると、太平洋高気圧が優位になり、南から温かく湿った風が前線に向かって流れ込みやすくなります。そのため大気の状態が不安定になり、雷や大雨が降るようになるのです。
ピカッと光る夏の雷は、恐怖のシンボルですが「梅雨がそろそろあけるサイン」。ちがった角度で空を眺めてみると、またちがった発見ができるかもしれません。

ビルと雷
流星多ければ、日照りつづく
夏に流れ星が多いと、昔から日照りになるといわれています。山梨県の南アルプス周辺で伝えられることわざですが、科学的な見解はまだよくわかっていません。
夜空に流れる美しい流れ星は、現代人の私たちにとっては「華やかなショー」ですが、昔の人にとっては少し違うニュアンスだったのかもしれませんね。
まとめ
最近は40度ちかい猛暑がつづくこともある夏の気候。ところによってはゲリラ豪雨があることもあり、おだやかな夏とはほど遠い陽気がつづいています。
熱中症が気になって、なかなか屋外を出歩けないことも多い昨今の「日本の夏」ですが、空気のひんやりした早朝や夕方に、空を眺めてみるのも楽しいかもしれませんね。夏にまつわる天気ことわざを知って、日本の四季をもっともっと愛してみてください。