日本には古くから語り継がれてきた多くのことわざや四字熟語があります。
四字熟語ことわざとは昔の人の知恵とも言われています。
大切な教えを短い文章で表し、今の時代も伝わっている言葉です。
天気にまつわることわざ(観天望気)もたくさんあります。
今回は秋に関することわざについて紹介します。
天気ことわざ四字熟語、秋の天気が関係するものを紹介
観天望気(天気ことわざ)で秋がつくことわざやその他の「秋」がつくことわざを紹介していきます。
秋がつくことわざは非常に多いです。秋の味覚や秋の季節の変わり目やよく聞きことわざまで一気に紹介していきますよ。是非参考にしてください。
秋の天気は…
他の季節に比べて秋の天気が変わりやすいのは、気象にそれほど詳しくない人でもそれとなく聞いたことがあるでしょう。
これにはきちんとした理由があり、夏から秋になるに連れて、日本列島の上空に張り出していた高気圧が序々に引いていきます。
これによって暑さからは開放されますが、今度は梅雨前線によく似た秋雨前線が代わりに一時的に停滞する為、雨が降りやすくなります。
そして、この秋雨前線が南下していくと、次は移動性の高気圧と低気圧が交互に日本列島上空を通過するので、この時期は日によってころころと天気が変わりやすいのです。
秋は気候的にこのような季節なので、ことわざ四字熟語でもこれにちなんだものが多くなっています。ここではその中でも、よくこの秋の特徴を表しているものをいくつか挙げていきます。
「女心と秋の空」(おんなごころとあきのそら)
共に“変わりやすい”という意味から、このようなことわざがあります。
急に親しかった女性が冷たくなったような時に、「これは女心と秋の空というやつか?」などと用いることが多い言葉ですが、女性からしてみると、そんなに気分屋だと思われては困るとクレームを出してもおかしくありません。
ですが、この言葉は実は、「男心と秋の空」の「男」を「女」に変えたもので、そちらの方が先にあった言葉です。
男はすぐに他の女性に気が移ると言いたいことから生まれたもので、その「男」がいつの間にか「女」に変わり、そちらの方が有名になってしまったという経緯があります。
その為、何も女性だけを揶揄した言葉だという訳ではないので、特に使う際にあれこれと考える必要はありません。
何より、先に男性に対して「男心と秋の空」などと言い出したのですから、その逆を問われたとしても仕方のないことでしょう。
男心と秋の空
秋の天候が変わりやすいように、男の女性に対する情が移ろいやすいことを例えてます。
「女心と秋の空」のほうが有名ですが男性諸君、男心もあるんですよ。
「秋の扇」(あきのおうぎ)
これもことわざの1つで、聞き慣れた表現に言い換えると、「無用の長物」となります。つまり、全く必要の無い物だという意味で、それなりには見聞きします。
ただし、先の表現の方が有名なので、わざわざこちらを用いることもなく、やはり無理に使うことはありません。
何故「秋の扇」が「無用の長物」となるのかと言えば、涼しくなった秋に扇は必要ないという解釈からです。
また、夏に使われた扇も秋になると見捨てられるという意味から「男に見捨てられた女の例え」でも使われます。
これは中国の漢の時代に成帝に寵愛された女性が成帝に鑑みられなくなった嘆きの詩を詠んだ故事から来ています。
“変わりやすい”といったニュアンスは含まれていませんが、季節的に「秋」だからこその言葉なので、これもここに加えておきます。
「秋荒れ半作」(あきあれはんさく)
秋の天気は荒れやすい(変わりやすい)ので、この季節に作物を作ると、予定の半分程度しか獲れないことを覚悟しなければならないという解釈になります。
「秋に収穫の二期作の野菜が正に秋荒れ半作となってしまった」などと、主に農業を営んでいる人がそのようなシチュエーションにおいて用いる言葉ですが、それ以外の使い方はまずしないので、意味を覚えておく程度でいいでしょう。
秋風が立つ
男女間の愛情が冷める様子を表現したことわざになります。
「秋」と「飽き」をかけ合わせた説もあるようです。
空樽は音が高い
あさはかな事しか知らないのに、さも知ったことのように話す長々と話すことを例えています。
空の樽は叩いたら高い音を立てることから「空樽は音が高い」と言われています。
秋茄子は嫁に食わすな
秋の茄子は美味しいので嫁に食べさせるのはもったいない説を思い出しますが、実はもう一つ別の説があるんですよ。
秋の茄子は体を冷やすのと種子が少ないので子種が少なくなるので嫁に食べさせては行けないと言う2つの説で嫁の体を労ったことわざでもあるんです。
さてどちらが正しいのでしょうね?
秋の鹿は笛に寄る
鹿の発情期である秋に人間が雄鹿の鳴き声を真似て雌鹿がおびき寄せ、人間に捉えられてしまうことから来ています。
意味は、恋のために身を滅ぼすこと。弱みに付けられて利用されることを現していることわざです。
秋の日は釣瓶(つるべ)おとし
意味は秋は日が涼むのが早くなって急速に日が暮れて言う事を例えたことわざです。
説は井戸の中へ釣瓶を落とすようにあっという間に日が沈むことから来てます。
このことわざの対義語は「春の日は暮れそうで暮れぬ」なので受験生は覚えておいて損は無いですよ。
天高く馬肥ゆる秋
こちらも有名なことわざですね。
秋の空が高く澄みきっていて、さわやかで豊穣な秋の季節を称える言葉のことわざです。
えっ馬は何の意味と思われるかも知れませんが説があるんです。
秋空が高く澄みきっていて、馬もよく草を食べ肥える季節のためなんです。
秋の澄み切った空に馬が放牧で草を食べてる様子を想像したら秋の長閑(のどか)で、ほのぼのとした様子が目に浮かびそうですね。
秋が付く四字熟語
「暗送秋波」(あんそうしゅうは)
表立って堂々とではなく、こっそりと何かを伝えることを意味する四字熟語です。
「今が暗送秋波のいいタイミングだ」のように使ったり、「うまく暗送秋波したものだ」などと使う言葉ですが、このこっそりと使うことが何故「秋」に絡むのかと言えば、ころころと変わる天気の合間を縫って、といったニュアンスになるからです。
それだけ秋の天気は変わりやすいということから、「秋」が使われているという訳です。ただし、それほど聞く言葉でもないので、そのような場面があったとしても無理に用いることはありません。
「社燕秋鴻」(しゃえんしゅうこう)
あまり聞かない四字熟語ですが、すぐに気が変わる、またはすぐに別れるという意味で使われています。
「あの2人はもう別れたの? 正に社燕秋鴻だね」のように用いられる言葉で、何か(どちらか)が悪いということではなく、単にすぐに気持ちが変わることの表現です。
この言葉で使われている「秋」は、正にその季節の特徴からきていると考えていいでしょう。
その「秋」と使うからこそ、“すぐに(気持ちが)変わる”ことが表せています。
先の「女心と秋の空」や「男心と秋の空」と使うと角が立ってしまうと思われるシーンでは、こちらを用いるといいかも知れません。
ですが、それほど一般的な言葉ではないので、そちらに注意が必要です。(何のことか分かってもらえない可能性があります)
まとめ
ここまでを見ても分かるように、「秋」を使ったことわざ四字熟語は、それを悪い意味で使っている言葉がほとんどとなっています。
ですが、ここではそのようなものを遭えて挙げてきたからに他ならず、秋ならではの暑くもなく寒くもない気候の良さからの言葉も多く存在し、特に「秋」がことわざ四字熟語において悪者とされている訳でもありません。
この中で、「女心と秋の空」は、「男心と秋の空」の方が先で、そこから派生して出来たということは覚えておいて損はないでしょう。